小説

『古本食堂』原田ひ香

No.1697 2022年7月1日読了 一つ前に読んだ本の読了日を見ると、この本を読むのに2週間くらいかかったことになります。とても読み易い本なので、早ければ3日くらいでは読めそうなのですが、この2週間を振り返ると、そう言えば仕事が忙しかったなと思いました。時間が足りないわけではなく、心に余裕が無い時には読書が進まなくなる人なんです。 自分のことについて、もう少し書きますが、自分はとてもせっかちな正確だと思っています。だから、この物語を読んでいると、焦れったくなってしまいます。ゆったりとしたテンポで進んで行くからです。でも、人生はそうなんだろうと思いますし、一歩ずつ、少しずつという丁寧な生き方[…]
麦二郎
先月

『東京ロンダリング』原田ひ香

No.1695 2022年6月12日読了 「ロンダリング」は賃貸の事故物件に住んで前の住人の居住履歴を浄化する仕事のこと。賃貸物件は前の住人のことを次の住人に伝える義務があるようで、事故が起きた物件に入居してしばらく生活をすることによって、一つ前の住人の事故履歴を隠すことができるということなのです。一定期間家賃ゼロ円で入居でき、そこで生活をしているだけで収入が得られるという仕事です。 主人公は32歳でバツイチ、家も無いりさ子という女性です。いきなり夜中に戸を叩く音がして目を覚ます主人公と訪れた女性の話から展開が始まるので、これはスリリングな出来事や、もしかすると幽霊なども出てくるホラー小説か、[…]
麦二郎
2ヶ月前

『傑作はまだ』瀬尾まいこ

No.1693 2022年6月2日読了 この本は少し気になっていた本でした。調べてみたら、2019年3月に出版されていましたから、3年経っていることになります。文庫本になっていたので、迷わず買って読むことにしました。 血の繋がった子供が突然現れる、という設定は他にも読んだことがある気がします。現実はどうかと言うことではなく、良くある話のように思えます。父親が主人公なのですが、職業は作家。何だか世の中との関係を遮断して、作品を書いているような感じがします。 半分くらい読み進めると、やはり瀬尾まいこさんの作品だと感じ始めます。とても温かい物語で、息子もその母親も素晴らしいということがわかってきます[…]
麦二郎
2ヶ月前

『マイクロスパイ・アンサンブル』伊坂幸太郎

No.1689 2022年5月5日読了 アンサンブルは、合奏、重奏という意味だから、タイトルの意味はわかるような気がします。この小説は2015年から開催されている猪苗代湖を舞台とした音楽&アートフェスティバルで配布していた短い小説を集めて本にしたものとのこと。フェスティバルの名称は、「オハラ☆ブレイク」。「オハラ」は、会津地方の民謡「会津磐梯山」に登場する人物「小原庄助」さんの「オハラ」、「ブレイク」は「休息」のことのようです。この小説には歌詞が使われているのですが、きっとフェスティバルに参加していたミュージシャンの曲だと思います。Theピーズとtomovskyというミュージシャンなのですが、[…]
麦二郎
3ヶ月前

『そのマンション、終の住処でいいですか?』原田ひ香

No.1687 2022年5月1日読了 好きな本を好きな時に、好きなだけ読むことにしょうと考え、読書量だけを目標にしないようにしたら、全然読めなくなってしまいました。仕事が忙しかったこともありますが、今日は何ページは読んでおこう、みたいな目安も無しにしてしまったので、ほんのちょっとずつしか読めなかったのです。でも、しばらくは好きな本を好きな時に、好きなだけ読むことにします。 さて、かなり日数がかかった本でしたが、決して面白く無いからではありません。そのタイトルやこれまで読んだ原田ひ香さんの小説から想像していたのとは、ちょっと違った感じの物語でした。読み終えてみると、やはりどこかに原田ひ香さんな[…]
麦二郎
3ヶ月前

『正欲』朝井リョウ

No.1685 2022年4月13日読了 実に前回養老孟司さんの『まるありがとう』を読み終えて、半月以上経って久々読了した本です。並行して読んでいる本、小川糸さんの『針と糸』もありますが、読書量から言うと急ブレーキがかかったようです。仕事が結構忙しくて心に余裕が無かったこともありますが、そればかりではありません。読みたいと思った本を、読みたいと思った時に読もうと決めたことが影響しているかも知れません。要するにこれまで月何冊読もうとか、3日で1冊読もうとか、そればかりを思って量に重きを置いていた気がして、それを取っ払ってみたわけです。 前置きが長くなりました。さて、この本ですが、決して読みにくい[…]
麦二郎
4ヶ月前

『地球星人』村田沙耶香

No.1681 2022年3月5日読了 昨日残り70ページくらいまで読み終えていて、今朝少し読もうかなと思いページを捲っていたら、一気に最後まで読んでしまいました。「読んでしまった」というのが本当のところなのです。そういう本だったと思います。 始まりは普通だったかも知れません。いや、ちょっとどこかに違和感を感じていたかも知れません。小学生の女の子が主人公で、お盆に親戚が祖父母の家に集まります。女の子はいとこの少年に恋心を抱いています。ページを捲って行くに従って、違和感は大きくなり、何だか怪しい雰囲気を感じてきます。途中で突然主人公が大人になっている場面へチェンジします。その印象が記憶に残ってい[…]
麦二郎
5ヶ月前

浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』

No.1677 2022年2月23日読了 この本を読んでみたいと思ったのは、「読書メーター」のランキング上位だったことと、本屋さんで良く見かけていたからです。「本屋大賞」にもノミネート作品として選ばれている本の一つです。 正直なところ、このジャンルの本はそれほど沢山読む方ではありません。特に本格推理小説みたいなジャンルだとそうなんですが、この本は殺人事件などの大それた犯罪の犯人を推理させるものじゃなさそうなのも、読んだ理由かも知れません。 さて、読んでみた感想ですが、非常に面白く、そして楽しく読ませていただきました。これから読もうと思っていらっしゃる方のため、ストーリーについては触れません。個[…]
麦二郎
5ヶ月前

『赤と青とエスキース』青山美智子

No.1676 2022年2月18日読了 青山美智子さんの経歴を見ると、ワーキング・ホリデーでオーストラリアに行き、その後ビジネスビザを取得して日系新聞社で2年間の記者をされています。その経験が活かされた作品かも知れません。この物語がオーストラリアで始まるからという単純な連想なんですが。 このところ青山美智子さんの作品を立て続けに読んでいる気がします。この本を読み終えたので、あと読んでいないのは、『ただいま神様当番』だけでした。2020年の作品なので、文庫本化されたら読むことにします。 オーストラリアに留学した女性と両親が日本から移住して来てオーストラリアで育った男性の物語です。恋愛小説と言う[…]
麦二郎
5ヶ月前

『鎌倉うずまき案内所』青山美智子

No.1673 2022年2月6日読了 最後の超短編を除いて、60ページくらいの短編が6つで構成されています。昭和64年から令和元年までの物語を新しい方から遡って行く形式になっています。つまり、平成の時代を描いていると言うことです。 全てに共通するのは、鎌倉うずまき案内所という不思議な案内所です。何かにはぐれた主人公が迷い込むと、あるアイテムが示されます。主人公を導くアイテムです。「猫のお告げ」に似ているかも知れません。 鎌倉を舞台としているので、この物語で描かれているのは、もしかするとあの辺りかなと考えながら読みました。そこまでリアルには書かれていませんが、もちろん有名なお寺や神社の名前は出[…]
麦二郎
6ヶ月前

『猫のお告げは樹の下で』青山美智子

No.1669 2022年1月29日読了 それぞれの悩みを抱える人達が、とある神社を訪れると、お尻に星のマークがついた猫がお告げを授けてくれます。猫のお告げはタラヨウの葉っぱの裏に書かれていて、それを手にした人はラッキーな人なのです。そのお告げは、キーワードだけで、それが何を意味するのかは自分で探す必要があります。そんなラッキーな人は7人です。 失恋した相手を忘れたい美容師だったり、中学生の娘と仲良くなりたい父親だったり、なりたいものが分からない就活生、夢を諦めるべきか迷っている主婦などが主人公です。それぞれの悩みが解消すると言うよりも、それぞれの悩みの種の受け止め方だったりします。キーワード[…]
麦二郎
6ヶ月前

『ずっとあなたが好きでした』歌野晶午

No.1665 2022年1月22日読了 この本は、なぜかずっと本棚の端っこに積ん読されていました。660ページくらいある、とても分厚い本だったからかも知れません。歌野晶午さんの本なので、楽しみを取っておきたかったのかも知れません。買ったのは、2018年2月3日頃のことらしいです。今となっては定かではありませんが、当時は買ったらすぐに写真を撮っていましたので、その写真の日付がそうなんです。 50ページ前後の短編が13収録されている本です。タイトルどおり、全ての短編は「恋」がテーマです。青春時代あり、ネットあり、初老時代ありという、ほんとうにいろいろな「恋」の物語です。でも、これ以上は語れません[…]
麦二郎
6ヶ月前

『ワンダフル・ライフ』丸山正樹

No.1664 2022年1月10日読了 「読書メーター OF THE YEAR 2021」の第一位となった本です。本屋さんに並んでいるのを見た時、気になっていました。多くの方が読んでいらっしゃるようなので、年末に本屋さんで買って、読むことにしていました。 昨日から読み始めて、昨夜晩酌をしなかったら、そのまま1日で読んでいたかも知れないと思いました。300頁超の本ですが、初日で半分、そして今日は半分読みました。 ネタバレを含まないようにこの本の感想を書くのは難しいと思いますので、少しネタバレを含むことを予めお知らせしておきます。核心には触れないようにしますが。 読み始める前は、障がい者に関する[…]
麦二郎
7ヶ月前

年末年始に向けて本の買いだし

毎月月末に、クレジットカードのキャンペーンがあり、駅ビルのラスカ茅ヶ崎で5,000円以上の買い物をすると、プラス500ポイント貰えます。今年最後のキャンペーンは、24日から26日までの3日間だったので、25日に本の買いだしに行って来ました。買ったのは、以下の4冊です。 『ワンダフル・ライフ』丸山正樹登録している「読書メーター」の「読書メーターof the Year」第一位なので読んでみたくなりました。『倒産続きの彼女』新川帆立前作『元彼の遺言状』が面白かったので、新作も読むことにしました。『鎌倉うずまき案内所』青山美智子『猫のお告げは樹の下で』青山美智子上記2冊以外は買う本は決めていなかったの[…]
麦二郎
7ヶ月前

『三千円の使いかた』原田ひ香

No.1653 2021年11月25日読了 以前から本屋さんや読書メーターで目にしていた本で、一番読んでみたいものだと思っていた本を今日読了しました。第1話から第6話までの6つの短編で構成されています。 物語は祖母、母、娘二人と父という家族を中心に展開して行きます。それぞれの家族視点で物語が進んで行くのです。第1話は、IT関連会社に勤める末っ子が中心の物語です。タイトルになっている「三千円の使いかた」というタイトルです。「ひとは三千円の使いかたで人生が決まるよ」という祖母の言葉から始まります。象徴となっているのは、ティーポットです。ただ単に安い物を使うか、それともずっと使える高級な物を使うかと[…]
麦二郎
8ヶ月前

『こころ』夏目漱石

No.1647 2021年10月29日読了 読書熱が高じて、昔読んだ名作を読み直してみようかと思い買っておいたのは、振り返ると2018年6月のことでした。何と、3年以上も積ん読になってしまっていたようです。これより更に数か月前に買った本も積ん読状態なので、一番古いわけではありませんが。積読本を0にしようと言うことで、頑張って読んでいたのですが、今月は小休止状態です。少しでも減らしておこうと、この本を読むことにしました。 読書のペースも小休止状態だったので、少しずつしか読まなかったせいもあり、やっと10月の終わりに読み終えました。通勤電車の往復が僕にとっては絶好の読書タイムなんですが、テレワーク[…]
麦二郎
9ヶ月前

『ペッパーズ・ゴースト』伊坂幸太郎

No.1645 2021年10月13日読了 この本が10月1日発売と知り、Amazonで予約して楽しみにしていました。分厚い本なので、通勤の往復で読むのを避けていて、読了が少し遅くなりましたが、今日読み終えました。期待どおりの伊坂さんらしい物語でした。グラス・ホッパー的なちょっと怖い部分と他の作品のちょっとユーモラスな味わいもあり、これまでの作品が複合されたような感じにも思われました。 前半は物語はゆっくりと進んで行きますが、徐々にテンポが上がって、最期はダッシュみたいな感じでした。これまでの伊坂さんの本は、だいたいそういう感じで前半は時間をかけて読み、終盤は一気読みのようになってきます。 こ[…]
麦二郎
10ヶ月前

『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子

No.1642 2021年10月1日読了 8月に文庫本を読んだ『木曜日にはココアを』の続編にあたる本のようです。確かに前作の登場人物が出てきます。前作同様「マーブル・カフェ」という喫茶店を舞台にした物語ですから、当然と言えば当然かも知れません。「マーブル・カフェ」の定休日に抹茶を出す「抹茶カフェ」なのですから。 前作も同様でしたが、とても短い20ページ弱の短編で構成されています。主人公は短編毎に変わりますが、前の短編に登場した人が次の短編で主人公になる、みたいな緩い繫がり方をしています。12か月それぞれの月という設定で1年間ぐるりと回って、元の話に戻るようなスタイルです。 ついていないと思って[…]
麦二郎
10ヶ月前

『東京奇譚集』村上春樹

No.1639 2021年9月20日読了 奇譚とは、珍しい話、不思議な物語という意味。ありそうにない不思議な物語から、あるかも知れないと思えるくらいの不思議な話まで、幅はあると思います。でも、珍しさや不思議さがメインではなく、そのことと対峙する人の物語がメインです。 不思議なくらい偶然が重なることは、ありそうな不思議かも知れません。「偶然の旅人」は、孤独なピアノ調律師が主人公。タイトルどおり、いくつかの偶然の話です。「ハナレイ・ベイ」は、サーファーの息子を亡くした母親の人生の物語。「どこであれそれが見つかりそうな場所で」は、マンションの高層階の階段で失踪してしまった夫を探す妻と夫捜しを手伝うボ[…]
麦二郎
11ヶ月前

『東京會舘とわたし』辻村深月

No.1637〜1638 2021年9月19日読了 上下巻分のレビューを一度にすることにしました。東京會舘といろいろな人の関わりを大正から令和まで描いた物語です。上巻は、大正から昭和39年までの物語ですが、この後東京會舘は建て替えられるので、上巻は旧館の頃の物語とされています。下巻は新館と2回目の建て替えを経た新新館までですが、2回目の建て替えまでの物語が中心です。 東京會舘には数回行ったことがありますが、とても料理が美味しいことを記憶しています。この物語はノンフィクションを土台としているフィクションですが、料理が美味しいのは読んでみてなるほどと納得しました。東京會舘といろいろな縁で繋がってい[…]
麦二郎
11ヶ月前