『うたかたモザイク』一穂ミチ

麦二郎
麦二郎

No.1815 2023年11月9日読了

13編の短編小説集。
数ページの短いものから、長くても40ページ弱くらいの短編小説が収録されています。
最後の1作は書き下ろしで、他は雑誌やフリーペーパー、ウェブに掲載された作品を集めています。
5つに分類されていて、それぞれsweet , spicy , bitter , salty , tastyという分類になっています。
味そのものではなく、人生の味わいと言った感じでしょうか。
どの作品も似通ってなくて、いろんな味わいがある、そんな短編集だった気がします。

特に面白かったのは、2つ。
猫が出てくる短編です。
一つは「レモンの目」。マンションに現れる黒猫を通じたコミュニケーションの話です。
スパイスがきいた、ちょっと怖い話かも知れません。

もう一つは、「神さまはそない優しない」です。
混雑したホームで押されて線路に落ちて死んでしまったダンナさんが猫に生まれ変わる話です。
しょっぱい涙の話かも知れません。

短編集と長編とどっちが良いかと言うと、長編の方が読み易いと感じます。
長編は流れがあって、その流れに乗ったら一気に最後まで読み終えます。
短編は細切れなので、リセットする回数が多くなります。

麦二郎

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