『クロコダイル・ティアーズ』雫井脩介

麦二郎
麦二郎

No.1799 2023年8月30日読了

クロコダイルティアーズとは、嘘泣きのこと。
このタイトルが秀逸なのは、ラストになってわかった気がした。

夫を元彼に殺された妻が主人公かなと思ったら、物語が綴られている視点からすると、息子を嫁の元彼に殺された母親が主人公なんだろう。
人は疑いの目で物事を見始めると、全てが疑わしく見えてしまうものかも知れない。

『火の粉』という著者の作品に似ていると思いながら読み進めた。
図書館本なので、できたら今日読み終えて、明後日にも返却しに行かなくちゃと思って、毎日100ページ強読む計画を立て、順調に計画通り読むことができた。
計画通り読み終えることができたのは、面白くてページを捲りたい気持ちが強かったから。
読書は苦行ではなく、楽しむものだから、無理することは無い。
面白ければどんどん読めるし、面白くなければページが進まない。
当たり前だけど。

この本は、僕にとっては面白い部類に入る。
もっと言えば、雫井脩介さん作品は、今のところハズレが無い。

さて、このミステリー、期待を裏切られた。
勝手な期待であって、僕の勝手なんだけど、もっといやーな話だと思っていたし、嫌な人間だと思っていたけれど、意外とあっさり系のミステリーだったと思う。
書き方によっては、本当にいやーな話になってしまうだろう。
だけど、こういうのも良いかなと思える。

今回の雫井脩介作品も面白かった。

麦二郎

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