『八月の御所グラウンド』万城目学

麦二郎
麦二郎

No.1818 2023年11月29日読了

万城目学さんは、『ザ・万歩計』というエッセイから入って、『鴨川ホルモー』を読んで、はまった作家さんです。
そう言えば最近全然読んでないと思っていたのですが、2017年に出版された『パーマネント神喜劇』を読んで以来でした。
調べてみると、『パーマネント神喜劇』以降の小説は2作しか出版されていないようです。
2021年と2022年に1作ずつです。しかも本屋さんでは全然目にした記憶が無かったりします。
読みそびれた作品は、そのうち図書館で借りて読もうかなと思っています。

さて、久々の万城目学作品ですが、この本には2つの小説が収められています。
ひとつは「十二月の都大路上下ル」です。ちなみに「上下ル」は「かける」と読ませています。
十二月に都を走る女子全国高校駅伝に出場する子が主人公です。
京都を舞台とする小説も久々かも知れません。
読んでいるとどこが万城目学さんらしい小説なのかと、疑問がチラついてきますが、あるミステリアスな出来事がそうでした。
さりげないミステリーだったのです。
でも、何だかいつもの万城目学さんらしい物語ではなく、ちょっと優しく、ふわっとした温かみがある物語だと思いました。

もう一つは、表題作です。
「御所」なのですから、この物語も京都が舞台となっています。
グラウンドで何をするか、野球なんです。
「たまひで杯」という変な野球大会なのです。
そして、またもやミステリアスな出来事が起こります。
草野球の勝負の行方も見どころの一つでしょうか。
主人公はあまり野球が得意で無さそうなのですが、万城目学作品らしいキャラクターが脇を固めているので、楽しく読めました。
そしてほろ苦さもあるのでしょう。

かなり久々の万城目学作品でしたから、万城目さんの小説ってこんなだったっけと思ってしまいました。
とても読み易く、温かい気持ちになれる小説でした。

麦二郎

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