『光のとこにいてね』一穂ミチ

麦二郎
麦二郎

No.1791 2023年7月17日読了

2023年本屋大賞第3位。
一穂ミチさんの本は、『スモールワールズ』を2年前に初めて読み、この本が2冊目。
『スモールワールズ』の後で、『砂嵐に星屑』や『パラソルでパラシュート』などが出版されて、気になっていたものの、結局読まなかった。
今回は本屋大賞ノミネートと言うことで、図書館で順番待ちして読んでみました。
もっと早く読みたかった、と言うのが正直なところですが、特に読む時期は本の内容とは無関係です。

この本の感想は、とても書きにくい。
僕の薄っぺらい言葉で表現できるものでもないですし、この本の二人の主人公のことを理解できているかと言うとそうではないのです。
描かれているものを「愛」と言う言葉で書いてしまうと、いやいや「愛」ではないのではないか、みたいな気持ちになってしまうのです。
かと言って「友情」でもないですし。

「運命」とか、「縁」とか言うものに近いかも知れませんが、その言葉だけでは足りない気がします。
そういうものがこの世には存在するのかどうかについても、はっきりと言い切ることができない気がしますが、それだけ非常に深いものを感じました。

主人公は二人。
結珠と果遠と言う、二人の女性です。
子どもの頃にたまたま偶然に出会って、束の間の遊び相手として知り合います。
その後別れ別れになったものの、果遠は結珠に会うために同じ女子高校に入学します。
そしてある日また別れ別れになってしまい、完全に偶然でもない気がしますが、大人になって再び出会うことになるのです。

いろんないきさつを抜きにストーリーを書くなら、そういうお話なんです。
最後がどうなるかは、これから読まれる方のために書くことはできません。
それを先に知ったとしても、この物語の中核でも無い気がしますが。

それにしても、後半は一気に読みました。
次に何が起きるか、油断できない感じがしたり、ちょっと怖かったりしたり。
でも、次のページを捲らざるを得なくなるのは、著者の筆力なんだと思います。
とても読み応えのある本を久しぶりに読んだ気がします。

麦二郎

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