『図書館のお夜食』原田ひ香

麦二郎
麦二郎

No.1790 2023年7月12日読了

本と食をモチーフとした物語。
この図書館は私設図書館で、有料で、しかも夜しか開館していない。
多くの人に来てほしくない図書館なのだ。
タイトルに「夜食」とあるように、この図書館で従業員向けに提供される食事も面白い。
名のある作家の本に登場するお料理なのである。

夜しかやっていない図書館なんて、ミステリアスに決まっている。
しかも従業員も何だか謎めいている。
秘密を抱えている。

何とこの本のカバーの裏側には、この本に登場した料理のレシピが印刷されていました。
でも、個人的にはお料理よりもこの図書館の経営者が気になっていました。

新しくこの図書館の従業員となった樋口乙葉が図書館にやって来るところから始まり、大半の部分はこの樋口乙葉の視点で描かれている。
ところどころで他の従業員の目線で、自らの秘密が描かれて行く。
樋口乙葉が終始謎解きをするのかと言うと、そうでもない。

原田ひ香さんお得意のお料理小説のようで、そうでもなかったり。
珍しくミステリーっぽいタッチで綴られて行くものの、そればっかりでもなく。
お仕事小説と言えば、確かに普通の図書館ではないから、ちょっと変わっている仕事と言えば、変わっている。

最後まで読み終えて感じたのは、続編ができるのか、シリーズになるのか、そういうことだったりしました。
いずれにしても、相変わらず面白い小説でした。

麦二郎

コメントを残す