『書く習慣』いしかわゆき

麦二郎
麦二郎

No.1678 2022年2月24日読了

本を選ぶ時には、その時のキーワードの影響が大きい気がします。
あるものに意識が強いと、それに関連するものが次々とひっかかってくるような感じです。
どうやら今のキーワードは「書く」ことに関連するもののようで、「書く」だけでなく、「ノート」とか「手帳」、「メモ」などのタイトルがついた本を読みたくなるのです。
この本に惹かれたのは、そんな理由だと思います。

読む前には、「書く習慣」を身に付けるためのノウハウが書かれているのかなと思っていましたが、読んでみると、どうやら「書く楽しみ」に関する内容が多かった気がします。

章立ては6つです。最初の章は「書く」ことと仲良くなるコツです。
気になった内容は二つありました。自分語りで良いということと意味づけするのは読んだ人であるということです。
特に自分語りというのは、有名人でもない限りつまらないと思っていたのですが、そうではないらしいということです。

次の章は「習慣にする」コツです。
「明日やろう」は馬鹿野郎、というのはその通りだと思います。でも、僕自身そう考えてしまうことが多い気がします。書くことだけでなく。
三番目は、書くのが「止まらなくなる」コツです。
自分の「日常」は他人にとっては「非日常」かも知れないということ。そう考えると、ネタはいろいろ転がっています。
四番目の章の書くのが「嬉しくなる」コツですが、文の締め方についてセオリーに乗っかった瞬間に自分らしさを失うということ、その考え方には同感します。自由で自分らしければ良いとのこと。
五番目の章は、書くのが「好きになる」コツです。
「主観」だったり「実体験」、「自分しか知らないこと」を書くことで、誰かの反応があり、もっと書きたくなるのだそうです。なるほど。

最後の章は、書く気持ちを「大切にする」コツでした。
その通りだと思ったことの一つだけあげるとすると、「なにもなかった日」が「なにかあった日」になるということです。
出来事としては特に何もなかったと思われる日でも、心が動いたことを文章にすると、「なにかあった日」に変えられるということです。
平凡な一日でも、言葉でラベリングすることによって、「なにかあった日」「なにかを思った日」になるということです。
これは本当にいいなと思いました。

この本はテクニカル的な文章術の本でも無ければ、SNSのいいねを増やすためのノウハウの本でもありません。
書くことを楽しみ、それを習慣化して行って、もっともっと書くための本だと思います。

最初は重要だと思ったことをメモしながら読もうかなと思っていましたが、何だかそういう本ではない気がして、もっと「書く」ということを自分なりに考えてみようと思ったのでした。

麦二郎

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