『財布は踊る』原田ひ香
No.1809 2023年10月13日読了
母子家庭で育った葉月みづほは、お金に恵まれていなかったことから、高校時代に流行った長財布を手にすることが無かった。
結婚して夫と子どもの3人家族であるが、今は夫の稼ぎだけで暮らしているので、生活はギリギリというところだろうか。
みづほはそれでも節約をして、買いたいものも我慢してハワイ旅行に行けるだけの貯金をする。
そして念願かなってハワイ旅行に出掛け、憧れのルイ・ヴィトンの財布を手に入れた。
その大切な財布は、残念ながら長くみづほの側に置いておけなかった。
物語はこういうところから始まり、いろいろな人とお金の物語が展開して行く。
ネタバレになるので、詳細は書かないけれど、登場人物達はお金が余って裕福な人は一切出て来ない。
お金に困った人たちばかりと言っても良いくらいだから、良くある投資の失敗やカード地獄などは当たり前のように出てくる。
犯罪も起こしてしまう人だっている。
あまり楽しい物語ではなく、むしろいやな話が多いのは、お金に困った人たちが登場人物だから。『財布は巡る』みたいなタイトルでも良いじゃないか、と思う内容でもある。
いやな話ではあるが、とても面白かった。
このところ原田ひ香さんの小説を読みまくっている気がするが、まだまだ続きます。