『ワンダフル・ライフ』丸山正樹

麦二郎
麦二郎

No.1664 2022年1月10日読了

「読書メーター OF THE YEAR 2021」の第一位となった本です。
本屋さんに並んでいるのを見た時、気になっていました。多くの方が読んでいらっしゃるようなので、年末に本屋さんで買って、読むことにしていました。

昨日から読み始めて、昨夜晩酌をしなかったら、そのまま1日で読んでいたかも知れないと思いました。
300頁超の本ですが、初日で半分、そして今日は半分読みました。

ネタバレを含まないようにこの本の感想を書くのは難しいと思いますので、少しネタバレを含むことを予めお知らせしておきます。核心には触れないようにしますが。

読み始める前は、障がい者に関する社会問題をテーマとした小説なのかなあと、漠然と思っていました。
前に同じ作家さんの『デフ・ヴォイス』という法廷の手話通訳士の物語を読んだことがあります。
物語は、4つ並行して進んで行く形式になっています。
一つは、頸椎損傷で重度の障がい者となった妻を介護する夫の話です。著者も同じ体験をしているとのことで、表現がリアルでちょっと衝撃的でした。
二つ目は、妊活を始める夫婦の話。家を建てる計画も並行して進んで、設計段階ですがそこには子供部屋が用意されています。
三つ目の話は、上司との不倫をしている女性の話です。
四つ目の話は、パソコン通信で知り合った女性に恋する障がい者の話です。パソコン通信とはかなり前の時代設定でしたが、その頃も知っている僕としては、あまり違和感を感じませんでした。

それぞれの話が3つに分かれて、並行して読み進める形式になっています。
途中で薄々気付いてくるのですが、それが正しいかを確認するために、どんどんページを捲りたくなります。
久々に感じたそういう面白さがある小説なんですが、題材は結構重いものがあります。
久々にめぐり逢うことができた秀逸な小説という感じの読後感でした。
読み易くてどんどんページが進む本でした。

麦二郎

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