『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬

麦二郎
麦二郎

No.1694 2022年6月8日読了

今年の本屋大賞受賞作品。本屋さんに並んでいるのが気になっていた本でしたが、戦争に関する小説と言うことで、少々敬遠していました。
戦争は悲劇はあっても、良いことは無いと思っていたからです。

読んでみて、そのとおりでした。
どう考えても、戦争はマイナスでしかないのです。勝とうが負けようが、どっちだって悲劇を生むもの、生産的でないものが戦争なんだと思います。
でも、この本はとても面白かった。
フィクションを前提にして、面白かったと表現したいと思います。
でも、リアリティがあるのです。何故なら、ウクライナの戦争が現実となっているからです。
ウクライナの状況を、テレビの映像で毎日のように見ているせいか、この小説はリアリティがあったと思います。

主人公は、ソ連軍の狙撃兵セラフィマです。そして物語は、女性狙撃兵部隊を中心に回って行きます。
こういう小説には、賛否両論が付きものです。
でも、やはりこれはフィクションなのであって、戦争を美化した物語でも何でも無い筈です。
そういう次元の小説ではなく、異なる次元をバックにして表現されている気がします。

ウクライナ情勢により、映像を何度となく見ているため、リアリティが増した物語ではあるのですが、臨場感ある表現力は素晴らしいと思いました。
しかもデビュー作なのです。こんな小説が書ける作家さんは、すごいなと思います。

この本を読んで、4月頃から萎えていた読書意欲が、思わぬくらい復活してしまいました。
いつか近いうちに、読みたい本を大人買いしようと思いました。
多分、僕の本棚にある積読本がほとんど無くなったら、大人買いツアーに出掛けて行くだろうと思います。

麦二郎

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