『マイクロスパイ・アンサンブル』伊坂幸太郎

麦二郎
麦二郎

No.1689 2022年5月5日読了

アンサンブルは、合奏、重奏という意味だから、タイトルの意味はわかるような気がします。
この小説は2015年から開催されている猪苗代湖を舞台とした音楽&アートフェスティバルで配布していた短い小説を集めて本にしたものとのこと。フェスティバルの名称は、「オハラ☆ブレイク」。
「オハラ」は、会津地方の民謡「会津磐梯山」に登場する人物「小原庄助」さんの「オハラ」、「ブレイク」は「休息」のことのようです。
この小説には歌詞が使われているのですが、きっとフェスティバルに参加していたミュージシャンの曲だと思います。Theピーズとtomovskyというミュージシャンなのですが、この本で初めて知り、AppleMusicで初めて聴きました。

物語は2つの世界で構成され、「一年目」から順番に「七年目」へ続いて行きます。おまけは「七年目から半年後」というタイトルです。
2015年から続いているフェスティバルなので、その順番なんだと思います。
猪苗代湖が舞台となっていて、その地で2つの物語が交錯します。
一つは元いじめられっ子のスパイが主人公で、もう一つは失恋したばかりの社会人が主人公です。

伊坂さんは、「あとがき」で御伽噺と会社員小説を足したような小説と書いています。
まさにそんな感じの物語です。
200ページ無い薄い本だと言うこともありますが、あっと言う間に読めました。
期待どおりに面白い本です。
今、新刊が出ると買ってすぐに読んでいるのは、伊坂幸太郎さん作品くらいです。
この本はこれまでフェスティバルで発表されていたものを集めたものですから、近いうちに新刊が出版される可能性はまだあるってことです。
楽しみにしておきたいと思います。

麦二郎

コメントを残す