『君がいないと小説は書けない』白石一文

No.1634 2021年9月5日読了

主人公は編集者から小説家になった人物。奥さんとは別居して長いが、離婚は成立していない。
そして離婚後に知り合った女性ことりとずっと暮らしていて、実質的には彼女が妻である。

物語は全編主人公の語りで綴られて行きます。
著者の自伝的小説のようなので、著者の語りによる物語ということができるかも知れません。
主人公が出版社の編集者であった時代の回想や今の心情に関する語りが、延々と続いて行きます。
何か劇的な出来事があったりするわけではありません。奥さんと別居するに至ったことについては、詳細は語られていないと思います。

僕が長編小説で好きなのは、ストーリー展開が速い小説なんだろうなと思いながら、この物語を読みました。
心情を語る小説は、なかなか物語が進まない気がします。
なかなか読めない物語と言っても良いかも知れません。
かなり我慢しながら、400ページを越える長編を読み進めました。

ラストも全然意外ではない終わり方でした。
物語の内容からして、劇的なラストは期待できません。
想像どおりのラストでした。

麦二郎

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