『座右の寓話』戸田智弘
No.1869 2024年5月21日読了
ディスカバー・トゥエンティワン(2023年5月26日発行)
15章に分類された77の寓話とその解説の本。
これはと思って付箋紙を貼っておいたものが、7つある。
一つ目は「糸鞠」という寓話で、糸鞠の糸を引っ張ると時間が速く進み、糸鞠をもらった子供がたった4か月と6日しか生きてなかったという話。
早く休日にならないかなという思いは、人生の早送りになる。
今という時をしっかり生きることが大事という教訓で、これはドキッとしてしまった。
二つ目は有名な話。「山月記」である。
この話は、「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」がキーワード。
この本の言葉を抜き書きすると、「過剰な自尊心を抱え込まないこと、臆病さではなく勇気を持つこと、尊大さや傲慢さではなく謙虚さを持つこと、怠け心を抑えて継続的な努力をすること」そういう教訓。
三つ目は「画家ロセッティと老人」という話。
才能は使わないと消えてしまうという教訓。
最近描いた絵を画家に見せるが、人並みの出来映えという評価。若い頃に描いた絵を見せると、非常に高い評価で大画家になれる才能と言われる話。
四つ目は「増賀聖人の臨終」。
やりたいことには旬があり、楽しみを先送りばかりしていると、何もしないまま人生を終えることになってしまうという教訓。
最後は「三匹のカエル」の話。三匹のカエルが牛乳の容器に落ちた。
悲観主義のカエルは、何をしてもダメだと思い、何もしないで溺れてしまう。
楽観主義のカエルは、何もしなくても大丈夫だと思い、溺れてしまう。
現実主義のカエルは、できることはもがくことだけと考え、もがいているうちに足もとにバターができて、助かった。
ドキッとするものがあったり、面白いと思うものがあったり、寓話はこうしていろいろ読んでみると楽しい。