はじまりは、円覚寺から

麦二郎
麦二郎
2024年5月4日

鎌倉を歩くことを、できたら京都や奈良も含めた古都を歩くことを、ライフワークにしたいと思い始めています。まずは、住んでいる場所から最も近い鎌倉から始めようと決めて、このブログを立ち上げることにしました。

鎌倉を歩くことを始めたのは、2009年4月のこと。鎌倉のすぐお隣の橫浜市栄区に住み始めたことがきっかけでした。それから2011年3月までは、毎週のように鎌倉を歩いていました。
2011年4月からは茅ヶ崎市に移住し、鎌倉からは少し離れてしまったのですが、月に2回から3回は鎌倉を訪れていました。
コロナ禍の前2017年頃から少々足が遠ざかっていましたが、これからは毎月2回くらいは鎌倉を歩こうと思っています。
その鎌倉歩き再開の始まりは、やはり大好きな円覚寺からと決め、この日(2023年11月23日)紅葉の円覚寺を歩いてきました。

北鎌倉駅に着いたのは、開門前の8時16分頃でした。北鎌倉駅は敢えて鎌倉街道側の出口から出ました。
その理由は、ここから円覚寺へ向かうためです。

境内を分断するように、JR横須賀線が走っているお寺なのです。
参道の始まりはここからなので、円覚寺にお参りする時はここから歩きたいものです。
電車が通過するのを待って、写真を撮るのも良いです。

開門は8時30分、総門前には約20人ほど開門を待つ人たちがいました。
今日が秋の祝日だったためと思います。紅葉の時期は人出が増えます。
紅葉はさてどれくらいなんだろうかと思っていました。鎌倉の紅葉はやや遅く、11月末に始まります。
円覚寺の紅葉は、もう少し楽しめそうな気がする程度に色付いていました。
総門を入った左手の桂昌庵のイチョウもとても綺麗に色付いていました。

今日はできるだけ多くの塔頭を巡ろうと思っていましたが、鐘楼のある高台まで上がって、すっかりくたびれてしまいました。
「塔頭(たっちゅう)」とは、わかりやすく言うと、大きなお寺の境内にある小寺のことです。
禅宗のお寺で高僧の死後その弟子が師の徳を慕い、大寺・名刹に寄り添って建てた塔や庵などの小院のことなのです。
その塔頭の一つ、桂昌庵を過ぎて左に折れ、山の方へ登って行くと4つの塔頭があるのですが、そちらは次の機会とすることにしました。
総門を潜って拝観料を納め、まず向かうのはやはり山門です。

石段の下から見上げる山門の風景が大好きです。
石段を上り山門を前にすると、何故だか凜とした気持ちになるのを覚えます。
鎌倉で一番好きなお寺が円覚寺だと思っていますが、その理由が凜とした気持ちになれるからなのです。
山門は、三門とも表し、三解脱(空・無相・無願を象徴しています。
三門は、仏殿に至る門でもあります。

仏殿は1923年の関東大震災で倒壊し、1964年に再建されたのが今の仏殿です。
仏殿には本尊の宝冠釈迦如来が安置されています。
中に入ってお参りできるようになっていますが、この日は建物の外からお参りしました。
この日は人が写り込んでいない写真を撮るのが難しいくらい朝早くから沢山の人がお参りに来ていました。

先日10月29日に洪鐘弁天祭が催されました。
何と60年に一度のお祭ということで、見に来ようかと思っていたのですが、人出が凄そうなので遠慮しました。
円覚寺のホームページで動画を観ることができますし、仏殿前にはお祭で使った洪鐘のレプリカが展示されていました。

仏殿脇には、選仏場や居士林があります。
選仏場は修行僧の禅道場で、居士林が在家の禅道場です。居士林は現在建て替え中で、今は門だけになっています。
どんな建物が出来上がるのか、ちょっと楽しみです。今は土台だけ出来上がっていました。

さらに境内を奥の方へ向かいます。突き当たりに見えているのは、佛日庵の建物です。
佛日庵は、円覚寺の塔頭の中で数少ない拝観できる塔頭の一つです。
右手の塀は、大方丈を囲む塀です。
ところどころ木々が色付いていて、秋らしい風景です。

妙香池には、虎の頭のような虎頭岩があります。
僕はこの池で度々カワセミを見かけていますが、この日は残念ながら会えませんでした。
妙香池を過ぎて左に折れると、舎利殿があります。
国宝の舎利殿は、とても美しい建物です。お釈迦様の歯が祀られているそうです。
お正月と春と秋の連休に特別公開されますので、その時は建物のそばまで入れます。
いつもは門から覗けるだけです。

佛日庵と書かれた表札の下にいつも可愛い花が飾られています。
非毛氈が見えますが、腰掛けてお茶や珈琲をいただくことができます。ここまで来ると、円覚寺の境内の奥に近いので、ひと休みするには良いかも知れません。
春には、白木蓮が沢山咲きます。ここに来て、白木蓮の蕾が膨らんで来るのを見つけると、何だか嬉しくなります。春が近い証拠です。でも、春はまだまだ先です。
ここには開基の北条時宗公が祀られているお堂があります。白木蓮の先に門があり、そこからもお堂の中が見えます。

佛日庵の向かいは、如意庵です。
コロナ禍前に、一時期素敵なカフェがオープンしていて、一度入ったことがあります。
残念ながら今はカフェは無くなってしまったようです。
如意庵もとても素敵な塔頭の一つだと思いますが、拝観できません。

佛日庵の向かいの岩には小さな洞があります。
開山の日に沢山の白い鹿がここから現れて、無学祖元の説法を聴いたと言われています。
山号の「瑞鹿山」とは、この鹿のことです。

円覚寺の一番奥にある塔頭は、黄梅院です。
黄梅院も拝観できる数少ない塔頭の一つで、いつもいろんな花が咲いています。
冬なので、この時季は少し寂しいかも知れません。
次の春に訪れた時に、花の写真を撮って、ご紹介したいと思います。

黄梅院から引き返して、鐘楼と弁天堂がある高台を目指します。
途中の妙香池の向かいにある大方丈に立ち寄りました。
とても大きな建物で、その姿がとても大らかに見えます。
いつだったか、この池のほとりの木にカワセミが止まっていて、何枚も写真を撮ったのでした。
池がある方が裏側になります。表の方の庭には、大きな柏槇の木や百観音霊場があります。

石段の数を数えたことが無いですが、上ると結構きつい石段です。
石段を上りきると、弁天堂があります。弁天堂の向かいには鐘楼があり、梵鐘が国宝に指定されています。
先日60年毎に催されるという「洪鐘弁天祭」がありました。
行ってみようかなと思って調べていたのですが、子供の祭であり、動画をアップするので、できるだけ来ないで欲しいということが書かれていましたので、遠慮しました。
動画は円覚寺のホームページで観ることができます。

この高台からは、お天気が良ければ富士山が見えます。
ラッキーなことに、この日も富士山はくっきりと見えていました。
弁天堂の裏には「洪鐘弁天茶屋」があり、ひと休みすることができます。

円覚寺で人が少ない穴場的な塔頭をご紹介します。
さきほどの選仏場と居士林の間に、小路があります。行き止まりのように見えますが、実はどんどん奥に行けます。
途中から上りになっていて、階段があり、とても素敵な石仏がいらっしゃいますが、更に上がると龍隠庵があります。
この高台からは、円覚寺の境内を見渡すことができます。

さて、最後に塔頭を三つばかり、ご紹介します。
一つ目は、夏目漱石が座禅のために滞在されたと言う帰源院です。
拝観できない塔頭なので、門から中を覗いてきました。

二つ目は、総門を入ってすぐ左手にある桂昌院です。
閻魔様が安置されていて、弓道場がある塔頭です。こちらは庭には入ることができます。
脇から弓道も見物できることがあります。
昔、僕も弓道をやっていた時期がありますが、矢が的に当たる「スパン」という音が大好きです。

最後は春と秋に野草が咲き、その時期に公開されている塔頭です。
松嶺院です。一度拝観させていただいたことがありますが、高台に墓地があって、有名な方のお墓もあります。
原節子さんや開高健さん、それからこの前ニュースで出ていましたが、坂本弁護士のお墓もここにあります。
僕が大好きなのは、この建物そのものの美しい姿です。

境内をぐるりと巡って、約1時間半でした。
休憩なしで歩いていたので、歩き疲れました。それだけ広いお寺です。
あちこちのお寺を一度に巡るよりも、円覚寺のような大きなお寺は1日ひとつお参りすると決めています。
今日は円覚寺だけで十分満足です。

最後に桂昌院前にある境内図の写真と円覚寺の地図を載せておきます。
鎌倉五山第2位のお寺円覚寺は、鎌倉で僕が一番好きで、頻繁に訪れるお寺です。
四季折々の円覚寺も素晴らしいので、季節を変えてご紹介できたら良いなと思っています。

麦二郎
鎌倉

コメントを残す