近藤康太郎著『百冊で耕す』を読んでいるが、その中に「小説とは、作品に流れる空気を味わうものだ」という文章があって、まさにこの『カフェーの帰り道』はそういう小説だと思った。
『カフェーの帰り道』は、あまり流行っていない「カフェー西行」で働く女給さんたちが主人公の連作短編集。
「カフェー」が「カフェ」ではないところや、そもそも「女給」なるものが時代背景を表している。
それだけではなくて、文章も何だかゆったりとしていて、忙しい現代とはかなり違っていたり、登場する人たちからも昭和の雰囲気が漂っていた。
読み始めた時は、原田ひ香さんの小説に似ているのかなと思ったのだけれど、やはりこの小説に流れる独特の空気感が全然違っている。
たまたまかも知れないけれど、先日読破した『普天を我が手に』も昭和であり、この小説も昭和だったりするので、単なる偶然とは思えない気がした。
私がまだ生まれていない頃の話だから、その頃の空気を知っているわけじゃないけれど、きっとこういう空気だったんだろうと納得できる空気感だった。
これまで読んだことのない小説という気がした。
嶋津輝さんというのは、どういう作家さんなのだろうかと、大いに興味を抱いたから、きっと近いうちに他の作品も読んでみることになるだろう。
No.2036 2026年2月12日
