読書記録

『最後は会ってさよならをしよう』神田澪

No.1835 2024年1月21日読了 Twitterで140文字のショートショートを発信している方の作品集的な本。巻末に書き下ろしの短編や中編小説、エッセイがおまけでついてくる感じです。 ショートショートは、中には笑えるものもありますが、だいたいは恋愛関係でしょうか。1ページ1作なので、ぱらぱら捲る感じで読めてしまいます。そういう読み方はしない方が良いのでしょう。ひとつひとつ読み込まないと、読めないのかも知れません。流してしまうと、印象に残らなかったりします。 私の場合短編よりも長編好きなのですが、興味があったので読んでみました。やっぱり、それなりに長いのが好きです。物語の核心へと徐々に進[…]
麦二郎
3ヶ月前

『月の立つ林で』青山美智子

No.1834 2024年1月20日読了 5章に分かれています。一つ一つは、完結する形になっていますので、どこかで繋がっている短編が5つ収められている本だと言えます。 主人公は、順番に長年勤めた病院を辞めた就活中の元看護師、夢を諦めきれない売れない芸人、娘が突然嫁に行ったバイクの整備士、早く自立したい女子高生、家族とのバランスに悩むアクセサリー作家の5人です。いろんな悩みや迷いを抱えている人たちです。タケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』を聴いているという点で繋がっています。 青山美智子さんの作品は、いくつかの物語が微妙に繋がっている形のものばかりという印象です。繋がり方は緩[…]
麦二郎
3ヶ月前

『頭のいい人が話す前に考えていること』安達裕哉

No.1833 2024年1月16日読了 「知性」と「信頼」をもたらす7つの黄金法則と5つの思考法について説かれている本。時には会話形式で実際に起こることが例示されているし、著者の体験も交えて書かれているので、とてもわかりやすい本だと思う。内容も簡潔だから、サクサク読めてしまう。どの法則も、どの思考法も、読むと納得できるものだった。 黄金法則については、以下の7つ。感情的になったり、とにかくすぐに反応しないこと。頭がいいと決めるのは、自分でなく他人だということ。人は「ちゃんと考える」人を信頼すること。人を論破しようとか、人と闘うのではなく、課題と闘うこと。話が伝わらないのは、話し方が悪いのでは[…]
麦二郎
3ヶ月前

『六十一歳、免許をとって山暮らし』平野恵理子

No.1831 2024年1月11日読了 イラストレーターの平野恵理子さんのエッセイ。『五十八歳、山の家で猫と暮らす』を読んだのは、約3年半前の2020年7月このとだった。五十八歳から六十一歳だから、だいたいそれくらいの時間が経ったことになる。だんだんと山の暮らしにも慣れ、60歳を超えて運転免許を取る話が中心になっている。 五十八歳で山の家に引っ越し、猫と一緒に暮らし始めた著者は、車も買って山暮らしを謳歌している。11の話で構成されているエッセイだけど、一つの物語のようだ。本の始まりは、まずは運転免許を取るところから。思わず自分が運転免許を取った時のことを思い出しながら、教習などのシーンを読む[…]
麦二郎
3ヶ月前

『君はなぜ働くのか』永松茂久

No.1830 2024年1月9日読了 私はなぜ働くのか、そういう疑問を持っている人には、ヒントとなる色々な言葉がもらえます。人それぞれなので、この答えは違っているかも知れません。でも、私の場合は結構腹落ちした気がします。 最近、仕事が面白くないなあと思っていたところで、この本に出会いました。結構経験は積んで、もう引退してもおかしくない人なのですが、まだまだ迷いはあります。そんな時、とてもシンプルなヒントを与えてもらえた気がします。 何よりも、私は一生懸命仕事をしていないのだと思いました。だから、面白くないというのは、納得できる答えでした。まさにそのとおりだと思いました。 もちろん、この本はそ[…]
麦二郎
3ヶ月前

『仕事に追われず自分の時間を確保する』ハック大学ぺそ

No.1828 2024年1月4日読了 仕事に使う時間を減らして、プライベートな時間を確保するノウハウ本なのかなと思って買いました。違ってました。仕事に追われるほど忙しい人が、自分の本来業務を実行する時間を確保するためのノウハウでした。自分の時間を確保する3つのステップは、やめる、へらす、かえるです。仕事に使う時間を減らす手法としては、そうだろうなと思います。なので、残業が多い方は、この手法でプライベートな時間を増やすこともできる筈です。 ただし簡単ではありません。やめても良い仕事はあるだろうと思われますが、関係者が納得してやめても良いとされるまでには努力が必要です。へらすのもやめるほどではな[…]
麦二郎
3ヶ月前

『仕事と勉強を両立させる時間術』佐藤孝幸

No.1827 2024年1月3日読了 仕事を続けながら米国公認会計士や弁護士の資格を取得された著者の経験則が語られている本。時間術と言うよりも、仕事をしながら資格試験の勉強を続ける心得のように感じた。 仕事が忙しいことを、やりたいことを続けられない理由にすることが多いけれど、そういう自分の甘さを反省して、改めなければと思った。確かに仕事をしながら、時間を作って自分がやりたいことをやるための勉強を続けることは、簡単なことではない。その覚悟があれば、勉強してやりたいことをやることができる。できないのは、本当にやりたいと思っていないからかも知れない。 印象に残ったことをいくつかあげてみたい。仕事を[…]
麦二郎
3ヶ月前

『思考を耕すノートのつくり方』倉下忠憲

No.1824 2023年12月30日読了 ノートに関する使い方や書き方のいろいろが書かれている本でした。 「使い方」は、いろいろな切り口から書かれています。ノートの1冊全体をどのように使うか。冒頭のページを目次のために数ページ空ける方法や前後から使っていくやり方、見開きの片方を空けるやり方など。ページの使い方も、中心から書くマインドマップのような使い方や間隔を空けたり、コーネルメソッドのように枠を作ったりする使い方が紹介されています。その他、揮毫や線、丸で囲むなどの記述方法や箇条書き、タイムスタンプ、ナンバリングなどいろいろです。 「書き方」のスタイルについても、沢山の例とポイントが書かれて[…]
麦二郎
3ヶ月前

『椿ノ恋文』小川糸

No.1823 2023年12月28日読了 『椿ノ恋文』は、小川糸さんのツバキ文具店シリーズの3作目。鎌倉の二階堂辺りにあるツバキ文具店の店主鳩子さんが主人公です。前作の『キラキラ共和国』は、2017年10月発売でしたから、6年振りの新作です。 鳩子さんと夫、その連れ子のQPちゃんの3人家族だったのが、小梅と蓮太朗の二人が増えて5人家族になっていました。二人の育児のため、代書屋は休業していて、今回再開するという設定になっています。鳩子さんは、先代の祖母の代書屋を引き継いでいて、依頼者が伝えられない思いを代わりに伝える手紙を書くのです。 手紙がモチーフになっている物語ですが、今回は祖母の道ならぬ[…]
麦二郎
3ヶ月前

『喫茶おじさん』原田ひ香

No.1821 2023年12月23日読了 主人公は、バツイチで無職、57歳のおじさん。大手ゼネコンを早期退職して、退職金で喫茶店を開業するも、早々に潰してしまい、二番目の妻とは別居状態。何ともふがいない設定の主人公だが、何となく脳天気感が漂っていたりする。もちろん、自分の人生をそれなりに考えているようだ。その場所は純喫茶。 そんな主人公の1年間の物語で、一月から十二月までの短編形式の物語とエピローグで構成されている。最初はどうだろうという感じだったが、終盤に向かって徐々に面白さが増してくる感じ。会社の同僚だった友人とか、前妻、別居中の妻と娘、開業する前に専門学校で知り合った女性、開業中に雇っ[…]
麦二郎
3ヶ月前

『続ける思考』井上新八

No.1820 2023年12月17日読了 著者は、継続が趣味と言う方で、なるほど朝から色々なことを長年続けられていらっしゃる。僕も朝のルーティンなるものを決めて、例えばモーニング・ページや日記などを続けている。時々ふと思うのは、「何のために」ということだったりする。 著者は、「何のために」は継続した結果得られるものであり、続けている時には、少なくとも始めてしばらくの間は、そういうことは考えない方が良いと言う。確かにそのとおりで、考えないことにした。 大きなタスクは小さく分解するということをどこかで読んだ。それと同じで、続けたいことは小さくして、例えば5分だけを続けて行く。そうすれば、何年も続[…]
麦二郎
4ヶ月前

『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈

No.1819 2023年12月7日読了 主人公は、成瀬あかり。滋賀県大津市生まれ、同市在住。いやいや、主人公のキャラがとんでもなく面白い。「天下を取る」と言い出しそうなキャラである。その主人公をずっと見守ってきたのが、島崎みゆき。同じマンションに住んでいる。 物語は、6つの短編により構成されている。短編それぞれ目線は変わる。そのほとんどが成瀬が主人公なんだけど、1つだけ違っている。「階段は走らない」という短編だ。ちらりと、端役のように成瀬が写っている感じだ。 成瀬の中学2年生から高校3年生までが描かれているのは、連作短編と言って良いだろう。とにかく成瀬は変わったキャラなんだけど、それがとても[…]
麦二郎
4ヶ月前

『八月の御所グラウンド』万城目学

No.1818 2023年11月29日読了 万城目学さんは、『ザ・万歩計』というエッセイから入って、『鴨川ホルモー』を読んで、はまった作家さんです。そう言えば最近全然読んでないと思っていたのですが、2017年に出版された『パーマネント神喜劇』を読んで以来でした。調べてみると、『パーマネント神喜劇』以降の小説は2作しか出版されていないようです。2021年と2022年に1作ずつです。しかも本屋さんでは全然目にした記憶が無かったりします。読みそびれた作品は、そのうち図書館で借りて読もうかなと思っています。 さて、久々の万城目学作品ですが、この本には2つの小説が収められています。ひとつは「十二月の都大[…]
麦二郎
4ヶ月前

『私たちの世代は』瀬尾まいこ

No.1817 2023年11月25日読了 瀬尾まいこさんの本を初めて読んだのは、2008年11月のことでした。今から15年前ということになります。読んだのは、『天国はまだ遠く』でした。文庫本になってました。はっきりと覚えていないのですが、多分映画を観たのがきっかけだったと思います。それから、いろんな本を読み、最近では新刊が出るとすぐに読むことにしている作家さんの一人です。 コロナ禍の頃に小学三年生の二人の少女が主人公です。二人の物語と未来の話が交錯しながら始まり、良くある手法だとは思いますが、二人の物語がある時点から一つになります。瀬尾まいこさんの物語には特別な伏線やその回収というミステリー[…]
麦二郎
4ヶ月前

『777 トリプルセブン』伊坂幸太郎

No.1816 2023年11月12日読了 読み終えると、次の作品が出ないかなと思ってしまいます。殺し屋シリーズの第4作目です。『グラスホッパー』、『マリアビートル』、『AX アックス』に続く第4作です。最近ビデオで『マリアビートル』を原作とした『ブレットトレイン』という映画を観たのですが、あの舞台は新幹線でしたが、今回はホテルが舞台でした。『マリアビートル』がどんなストーリーだったか覚えていないのですが、映画と比べるとあの映画のホテル版が今回の『777』だと思います。 主役は「天道虫」、最も運の悪い人です。とても楽な仕事だった筈が、いつの間にか他の仕事に巻き込まれて、大変な目に遭うのです。物[…]
麦二郎
5ヶ月前

『うたかたモザイク』一穂ミチ

No.1815 2023年11月9日読了 13編の短編小説集。数ページの短いものから、長くても40ページ弱くらいの短編小説が収録されています。最後の1作は書き下ろしで、他は雑誌やフリーペーパー、ウェブに掲載された作品を集めています。5つに分類されていて、それぞれsweet , spicy , bitter , salty , tastyという分類になっています。味そのものではなく、人生の味わいと言った感じでしょうか。どの作品も似通ってなくて、いろんな味わいがある、そんな短編集だった気がします。 特に面白かったのは、2つ。猫が出てくる短編です。一つは「レモンの目」。マンションに現れる黒猫を通じた[…]
麦二郎
5ヶ月前

『とにかく仕組み化』安藤広大

No.1814 2023年11月5日読了 『リーダーの仮面』と『数値化の鬼』とそしてこの本が3部作みたいです。読む順番を間違えたようで、『数値化の鬼』を先に読んだ方が良かったのかも知れません。『リーダーの仮面』が中間管理職向けで、この本はもっと上の経営者やトップ層向けの内容でした。読んでみてなるほどと思います。 最初に替えの利かない人よりも歯車になる方がトップ層になれる、と書かれています。これがちょっとびっくりだったのですが、読んでいるとその理由が良くわかりました。属人化と仕組みの違いのようです。属人化は会社として避けないと、その人が居なくなると仕事が回らなくなってしまいます。 この本も5つの[…]
麦二郎
5ヶ月前

『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』原田ひ香

No.1813 2023年11月4日読了 原田ひ香作品、連続読みです。『老人ホテル』もこの本も、図書館で借りたものなので、返却のため優先して読んだのでした。直近の新刊は、出たら買って読もうと思っているのですが、新刊の時に読み損ねた本は図書館で借りて読むことにしました。 6つの話が収録されている短編小説集でした。母親からの小包がモチーフになっています。一つだけそうでないのも混ざっていますが。ありそうな話と、ありそうなエピソードばかりだと思いますが、そういう話が原田ひ香作品の面白いところなのかも知れません。想像を絶するあり得ない話ではなく、身近だということ。そして、それが現実だと嫌だなと思う気持ち[…]
麦二郎
5ヶ月前

『リーダーの仮面』安藤広大

No.1812 2023年10月31日読了 最近の上司のあり方として、部下に寄り添う上司とか、背中を見せる上司とか、いろいろ耳にすることもあるけれど、それらを完全に否定している上司論の本でした。「否定」と言うのは正しくなくて、本来あるべき上司の姿を見た気がします。 空気を読むのではなく、言語化されたルールを作ること。確かにルールを示された方が、部下としてはやりやすくて、何だか言っていることが良く分からないという上司は居るものです。 友達のような上司ではなく、上下の立場からコミュニケーションする上司。組織の中で与えられている役割が違うのですから、当然上司の指示には従うべきです。 部下の利益がある[…]
麦二郎
5ヶ月前

『老人ホテル』原田ひ香

No.1811 2023年10月30日読了 このところ、原田ひ香率が非常に高くなっている。それにしても多作な作家さんだ。もう新刊が出てしまった。 この本は、2022年10月30日出版の本。と言うことは、ちょうど1年前だったりする。買いそびれた新刊だった本を、最近は図書館で借りて読んでいる。この本は、ずいぶん長い待ち行列だったということになる。 原田ひ香さんの小説には、嫌な人が結構出てくる。良く読む作家さんで比べてみると、瀬尾まいこさんの小説には嫌な人はほとんど出て来ない。対極と言っても良いくらい。 主人公は、天使というキラキラネームの女性。家庭に恵まれず、高校は中退していて、キャバクラに勤める[…]
麦二郎
5ヶ月前