『自転しながら公転する』山本文緒

No.1771 2023年5月8日読了 山本文緒さん作品は、これで3冊目。最初に読んだのが『アカペラ』で、2013年のこと。それから長い時間が経って、亡くなられたことを知り、『無人島のふたり』を読んだのが、今年の1月のことだ。だから、まだまだ読み込んでいない作家さんなのだけど、この『自転しながら公転する』を読んでみて、もっと読みたくなったのでした。 内容 主人公の都は、牛久大仏に近い茨城県のアウトレットモールの洋服屋さんに勤める30代前半の女性、独身。この設定からして、その倍くらいの年齢の男性が読む本じゃないかも知れないと、恐る恐る読んだせいか、最初はページが進みませんでした。ゴールデンウィー[…]
麦二郎
11ヶ月前

『明日できる仕事は今日やるな』マーク・フォスター

No.1770 2023年5月3日読了 僕の本棚には、あと9冊の積読本がある。いつからそうなのか、覚えていないけれど、だいたい10冊以上の積読本が常にあって、新しく本を買うと、最近は新しいものから読むことが多く、この10冊の大半はかなり以前から積読本になっているものだ。これを今月末までに0にしたいと思っている。 この『明日できる仕事は今日やるな』は、比較的最近買った本だ。タイトルに惹かれて買ったものだけど、内容的には結構目から鱗だったりする。これこそが本当の時間管理術なのかも知れないと思った。 内容 第1部から第3部までの3部構成になっている。第1部は、「タイム・マネジメントの基本的考え方」と[…]
麦二郎
11ヶ月前

『夜に星を放つ』窪美澄

No.1769 2023年5月2日読了 窪美澄さんの本は、この本で8作目になる。初めて読んだのは、話題にもなった『ふがいない僕は空を見た』で、その後は出版された順番ではなく、ランダムに読んだ記憶がある。結構重いテーマを扱った作品が多く、全体的なイメージとしては、あまり明るい作品に出会えていないイメージだ。その窪美澄さんが直木賞を受賞された作品と言うことで、期待しつつ新刊を買うこともなく、結局買いそびれてしまった感じで、図書館で予約を入れていた。出てすぐに、または直木賞受賞後すぐに買わなかった理由は、特に思い付かない。タイミングを逃してしまった感じで、それなら気長に図書館の順番待ちをするか、とい[…]
麦二郎
11ヶ月前

『”はかどる人”の整理思考』吉澤準特

No.1768 2023年4月30日読了 仕事は整理なんじゃないかと、経験則でそう思っていました。なので、その考えを裏付けるようなタイトルだったので、この本がとても気になりました。著者の名前には見覚えがあったのですが、調べてみると2020年11月に『仕事力に差がつく超整理術』という本を読んでいました。検索してみて、本の表紙画像を見て、読んだことを思い出しました。でも、内容はあまり覚えていません。 内容 この本は4つに分かれていて、思考とインプット、アウトプット、問題解決がそのテーマです。それぞれに一つか二つのフレームワークが示されていて、その後にいくつかの事例をあげて、実際どのような手法なのか[…]
麦二郎
11ヶ月前

『ある男』平野啓一郎

No.1767 2023年4月29日読了 そんなに時間が経っていないと思っていたのだけど、著者の本を初めて読んだのは、読書記録を調べてみると2019年の秋だった。読んだのは、『マチネの終わりに』だった。読むのに時間がかかる長い小説だったけれど、印象は強かったと思う。今となっては、そのストーリーの詳細を思い出すことはできないけれど。 内容 小説なので、ネタバレにならない程度に書こう。本の帯に書いているコピーだ。「愛したはずの夫はまったくの別人だった」そう、そういう物語だ。その謎をこの物語の主人公、弁護士の城戸が追いかける。 事件性のあるミステリー物ではなく、ある男や本人の人生を描き出している物語[…]
麦二郎
11ヶ月前

『街とその不確かな壁』村上春樹

No.1766 2023年4月26日読了 村上春樹さんの久々の長編小説が出ることを、その直前に知り、Amazonで予約していました。そして、発売日当日に届き、その翌日頃から読み始めました。 村上春樹さんの小説は全部読んでいるわけではないです。いわゆるハルキストではないのですが、最近は新刊が出ると読んでいます。たぶん、2013年頃の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』あたりからでしょうか。この『街とその不確かな壁』が6年振りとかですから、新刊が出るとと言うのが適切かどうかは自信がありませんが。 過去にも新刊が出て、単行本を買ったものの、読まずに挫折したものもいくつかあります。濃密だから、[…]
麦二郎
11ヶ月前

『「すぐやる人」のビジネス手帳術』伊庭正康

No.1765 2023年4月12日読了 「すぐやる人」繋がりの本を連続で読みました。先延ばししがちな僕のような人と「すぐやる人」では、確かに手帳の活用度が違っているかも知れません。活用度は違っていても、活用方法とか手帳術にはあまり違いは無さそうな気がします。この本を一読してみたところ、「すぐやる人」がやっている手帳術に特化した本ではなさそうでした。 この本は結構オーソドックスな手帳の使い方を紹介している本で、他の手帳術と特別何かが違っているかと言うと、そういう部分はあまり見られませんでした。最後にFAQのようなページがあることが、僕にとっては他の手帳術の本との違いを感じる部分でした。 内容 […]
麦二郎
去年

『図解 すぐやる人のノート術』塚本亮

No.1764 2023年4月10日読了 更新が滞ってしまっていました。4月に入って、仕事の方は徐々に落ち着きつつあるのですが、何となくブログの更新を怠ってしまった、そんな感じです。読んだ本のこともグルメネタも、その他いろいろ、更新できていなかったことを少しずつ書いて行きます。 塚本亮さんの本は、結構読んでいます。図解ではない『すぐやる人のノート術』も2018年に読んでいました。この本はその図解版なのですが、出版は2022年12月と割と新しい本でした。 内容 5つのノートの使い方が紹介されています。5つのノートを使い分けるのが、結構難しいのではないかと思うのですが、それぞれに役割が決められてい[…]
麦二郎
去年

『最高のリターンをもたらす超・睡眠術』西野精治/木田哲生

No.1763 2023年4月8日読了 2,3年前からiPhoneに睡眠アプリをインストールしていて、Apple Watchをつけて寝ることによって、睡眠の記録を取っています。この数値は毎日気にして見ているものの、統計を取って分析したりはしていません。このアプリでは、深い睡眠がどれくらいあるかわかるようになっていたり、睡眠の評価をしてくれたり、使い切れていないいろいろな機能があります。こんなふうに、睡眠に関してはある程度意識しているので、近いうちに睡眠に関する本を読もうと思っていたのですが、今回やっと読むことができました。 内容について 3つのパートに分かれています。「頭がよくなる睡眠」と「生[…]
麦二郎
去年

『サンドの女 三人屋』原田ひ香

No.1762 2023年4月5日読了 今月2冊目の読了本。連続して原田ひ香作品でした。シリーズ最初の『三人屋』では、三女の朝日が喫茶店、次女のまひるが讃岐うどん屋、長女の夜月がスナックを営んでいた。朝昼夜交代で、父親から譲り受けた店で。「シリーズ」と書いてしまったが、次回があるのかどうかは不明だったりする。この『サンドの女 三人屋』は、2021年2月に出版されていて、割と新しい。続編は今年かも知れないし、ずっと先かも知れないし、これで終わりかも知れない。 この本の中身 お店の経営形態は、ちょっと変わっていた。三女の朝日が就職したため、次女が朝から昼にかけてサンドイッチを販売しているという形態[…]
麦二郎
去年

『アイビー・ハウス』原田ひ香

No.1761 2023年4月1日読了 初出は、2012年の『群像』。2013年に出版されているので、10年以上前の作品と言うことになる。今回読んだのは、講談社文庫。文庫本ではたまに見かけるが、カバーの上に新しいカバーが掛かっている。新しいカバーは、この物語に登場するふた組の夫婦、4人の人物の関係がイラストで描かれていて、物語の内容を示している。 内容 3階建ての一軒家には、蔦が絡まっていて、そこで暮らす4人の間では「アイビー・ハウス」と呼ばれている。1階は共同のスペース。2階が派遣プログラマーの一樹35歳と喫茶店アルバイトの未世子32歳の夫婦が暮らす場所。3階には、会社員の隆35歳とフリーラ[…]
麦二郎
去年

『神さまのビオトープ』凪良ゆう

No.1760 2023年3月29日読了 凪良ゆうさんは、BL(ボーイズラブ)作品の作家としてデビューし沢山の著作があったが、一般文芸小説作品として2017年に、この作品を刊行された。本屋大賞の『流浪の月』を読み、『わたしの美しい庭』、『滅びの前のシャングリラ』と読んだのですが、過去の作品を読みたくなって、この本を読んだと言うわけです。最新刊は『汝、星のごとく』ですが、刊行された時に買いそびれたので、図書館本を予約しているところです。 独自の世界観があり、読み出したら引き込まれてしまいます。 この本の内容 この本の主人公は、鹿野うる波という女性。夫に事故で先立たれて、夫の幽霊と一緒に暮らしてい[…]
麦二郎
去年

『明日も一日きみを見てる』角田光代

No.1759 2023年3月27日読了 角田光代さんのエッセイは、面白くて大好きなのだ。その上、猫の話となると、我が家にも猫がいるので、「うんうん、うちのもそうだ」なんて、かなり親近感を持って読むから、なおさら面白くなる。結局、この本、一気読みしてしまいました。これまでの角田さんの猫のエッセイは、全部読んでいることは言うまでもありません。 この本の内容 フォトエッセイなので、結構写真も多いです。主役のトトちゃんだけでなく、角田さんちを訪れる猫の写真も載っています。 エッセイは、24話と言うか、24作と言うか、掲載されています。猫タワーの話や虫を捕る話、脱走、動物病院での絶叫、キャットフードな[…]
麦二郎
去年

『よはく手帳術』miyu

No.1758 2023年3月26日読了 仕事が忙しいと、時間があっても、本を読む心のゆとりを無くしてしまいます。少しずつ読んでいて、読みかけの本が2冊あったのですが、昨日買ったこの本を先に読み終えてしまいました。写真が多い本なので、読むのに1時間とちょっとくらいしかかかりませんでした。今月の7冊目で、目標まであと3冊になります。 この本の内容 『よはく手帳術』なので、「余白の美」を追究した手帳術、つまり余白を残してすっきり書く方法なのかなと思いましたが、本屋さんで実際にページを捲ってみると違っていました。違うことを知りながら、「手帳術」というキーワードに惹かれて、買って読むことにしました。 […]
麦二郎
去年

『ギリギリ』原田ひ香

No.1757 2023年3月19日読了 3日前に読み終えた本のことを、まだ書いていなかったことに気付いたので、書いておくことにします。このところ結構沢山読んでいる原田ひ香さんの作品です。この本は文庫本ですが、2018年11月に出版されているので、結構古い作品です。単行本としては、2015年なので8年前の作品ということになります。 この本の内容 夫を亡くした瞳さんと、再婚相手の同級生の健児さん、そして亡くした夫の母の静江さん、この3人の視点で描かれている物語です。ちょっと微妙な関係です。再婚相手の健児さんと、前夫の母親の静江さんが結構仲が良かったりするのですから。 かと言って、ほんわかとした温[…]
麦二郎
去年

『しごとのきほん くらしのきほん 100』松浦弥太郎

No.1756 2023年3月16日読了 松浦弥太郎さんの本はいろいろ読んでいますが、この本と同じ形式、つまり松浦弥太郎さんの「基本」を書いた本は、『100の基本』という本を2014年の夏頃に読んでいます。その本の続編みたいな本ですが、松浦弥太郎さんが『暮らしの手帖』を作られていた頃、ノートに書きためていた「自分のきほんとして大切にすべきこと」をまとめたのが、この本のようです。 「きほん」って何だろうと読みながら考えていましたが、言い換えると「軸」ではないかと考えていました。自分の考え方や行動の「軸」となることが、この本で言う「きほん」なのだと思います。 僕の場合は、あまり「こだわり」の無い方[…]
麦二郎
去年

『一橋桐子(76)の犯罪日記』原田ひ香

No.1755 2023年3月14日読了 読書の楽しみは、「面白かった」「良かった」「感動した」などと思える本と出会うことができるところでしょうか。重厚長大なテーマだけが感動的なわけではなく、ユーモラスな作品だけが面白いと思うわけでなく、感じることはそれぞれ複雑なのですが、いずれにしても「読んで良かった」と思える本に出会えることは、とても嬉しいことです。 この本は、久々のヒットです。読者としての立場から見たヒット作なのです。このところ原田ひ香作品で文庫本になった本を買い漁っている感じですが、ますますいろいろ読んでみたくなる本でした。 この本の内容 主人公は76歳ですから、そこそこの高齢者。血の[…]
麦二郎
去年

『ワンダーランド急行』荻原浩

No.1754 2023年3月13日読了 荻原浩さんの本は、新刊が出るとすぐに買って読むことにしています。奥さんも好きな作家なので、二人で交代で読むので、経済的かも知れません。前に読んだのは巨大カマキリが出てくる『楽園の真下』で、2021年の夏でしたから、かなり久々の荻原浩作品です。長編で、400ページ超の分厚い本です。 この本の内容 ある朝、主人公は通勤とは逆方向の電車に乗ってしまいます。そこから始まる異世界(ワンダーランド)の旅というのが、この本の内容です。良くありそうなお話だと思います。良くありそうなのは、通勤とは逆方向の電車に乗りたくなることです。現実からの逃避でしょうか。 この物語は[…]
麦二郎
去年

『ゆうべの食卓』角田光代

No.1753 2023年3月4日読了 読書メーターに登録した読んだ本の著者ナンバー1が、実は角田光代さんです。読んだ本の数は、68冊とダントツのトップです。第2位は伊坂幸太郎さん、40冊。第3位が、荻原浩さんで、33冊と続きます。 角田光代さんは、初期の何作か読んでないものがあるものの、出版された本のほとんどを読んでいます。ただ、最近の作品は読めてなくて、この『ゆうべの食卓』はかなり久しぶりに読んだ作品です。 この本の内容 雑誌「オレンジページ」の2020年7月2日号から2023年2月17日号に連載された短編小説を集めたものです。3つの短編で1つの物語という形になっています。物語は11収録さ[…]
麦二郎
去年

『ランチ酒 今日もまんぷく』原田ひ香

No.1752 2023年3月1日読了 仕事が忙しかったせいか、ずっとブログを更新できませんでした。書いた日と読んだ日が、あまりにもかけ離れてしまうので、投稿日付を調整しておくことにします。 原田ひ香さんの小説をいくつか読んできましたが、今や気になる作家さんの一人です。過去1年間に読んだ本の著者のナンバー1です。読書メーターに登録している本の全期間で言うと、まだまだですが、7冊も読んでいます。今年はもっと読むだろう作家さんです。 この本の内容 ストーリーには触れませんが、短編でありながら、お話は繋がっています。なので、「ランチ酒シリーズ」の2作目を読んで、すぐにこの3作目を読みたくなったのです[…]
麦二郎
去年