『刑事何森 孤高の相貌』丸山正樹

No.1792 2023年7月21日読了 『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』を読んだのは、2015年11月のことでした。単行本では『デフ・ヴォイス』というタイトルだったのが、2015年8月に文庫本化されて、『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』と改題されています。 その後2018年には、『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』が出版され、2019年に『慟哭は聴こえない デフ・ヴォイス』が出版されています。この二つの作品は、文庫本化されています。そして2021年8月『わたしのいないテーブルで デフ・ヴォイス』が出版されていますので、『デフ・ヴォイス』シリーズは4冊ということになります。第2作以降はま[…]
麦二郎
9ヶ月前

『光のとこにいてね』一穂ミチ

No.1791 2023年7月17日読了 2023年本屋大賞第3位。一穂ミチさんの本は、『スモールワールズ』を2年前に初めて読み、この本が2冊目。『スモールワールズ』の後で、『砂嵐に星屑』や『パラソルでパラシュート』などが出版されて、気になっていたものの、結局読まなかった。今回は本屋大賞ノミネートと言うことで、図書館で順番待ちして読んでみました。もっと早く読みたかった、と言うのが正直なところですが、特に読む時期は本の内容とは無関係です。 この本の感想は、とても書きにくい。僕の薄っぺらい言葉で表現できるものでもないですし、この本の二人の主人公のことを理解できているかと言うとそうではないのです。描[…]
麦二郎
9ヶ月前

『図書館のお夜食』原田ひ香

No.1790 2023年7月12日読了 本と食をモチーフとした物語。この図書館は私設図書館で、有料で、しかも夜しか開館していない。多くの人に来てほしくない図書館なのだ。タイトルに「夜食」とあるように、この図書館で従業員向けに提供される食事も面白い。名のある作家の本に登場するお料理なのである。 夜しかやっていない図書館なんて、ミステリアスに決まっている。しかも従業員も何だか謎めいている。秘密を抱えている。 何とこの本のカバーの裏側には、この本に登場した料理のレシピが印刷されていました。でも、個人的にはお料理よりもこの図書館の経営者が気になっていました。 新しくこの図書館の従業員となった樋口乙葉[…]
麦二郎
9ヶ月前

『コメンテーター』奥田英朗

No.1789 2023年7月8日読了 ハチャメチャなようで、結構真剣だったのかと思える精神科医伊良部が17年振りに復活。この本が出ると知った時には、迷わずすぐに買って読もうと思いました。読んでみて、期待どおりの面白さでした。 短編集なのですが、収録されている短編は全部で5つ。「コメンテーター」は、ひょんなことから伊良部がテレビ番組のコメンテーターになるというお話。看護師のマユミの人気で、視聴率は急上昇。しかし、コロナ禍に関する伊良部先生のコメントは、爽快としか言いようが無いです。 「ラジオ体操第2」は、世の中の理不尽なことに怒りを感じる気弱な人の物語。怒りを感じても、直接注意できないってこと[…]
麦二郎
9ヶ月前

『シンプルな習慣で頭と心が「整う」勉強法』pikeチャンネル

No.1788 2023年7月5日読了 「毎日コツコツと何か勉強しなくては」と思いつつ、できていないため、「勉強法」というキーワードに引き寄せられてしまいます。この本も中身はちらっと捲ってみただけで、衝動買いしました。確かに前半は想像した内容でしたが、中心となる部分は「受験勉強」がクローズアップされていて、思っていたのとかなり違っていました。 最初の章は、「学びの前に」という章でした。机上の整理整頓や収納、インテリアという物理的な環境のことが書かれていました。確かに落ち着く環境で勉強した方が、集中できます。朝、昼、夕方、夜と時間帯に分けて音楽の再生リストをかけるとか、やることリストを書く、香り[…]
麦二郎
9ヶ月前

『やり抜く人になるための戦略書』伊庭正康

No.1787 2023年7月2日読了 成功への近道は、やり抜くこと。つまり、目標に向かって継続する力こそが、成功へ結びつくもの。「継続は力なり」と言うが、まさにそのとおりだと思います。そんなやり抜く人になるための戦略が、いろいろ書かれている本です。 まず第1章は、成功するためには、能力や技術ではなくやり抜くことだということが書かれている章です。「やり抜くこと」自体に関することが書かれています。印象に残っているのは、気合や根性論ではなく、やり続けるための手段を考えることが重要だと言うことでしょう。 第2章は、「仕組み」によって継続できるということ。最上位の目標を常に見据えることやTKKの法則に[…]
麦二郎
9ヶ月前

『ダンドリと予定の立て方』井出元子

No.1786 2023年7月2日読了 「ダンドリの立て方」などは、仕事術の基本中の基本なんですが、立ち止まって考えてみると、できていないことも多い気がします。ごくごく基本的なことというのは、実行することが結構難しいものです。基本的なことができたら、それはそれで素晴らしいことだと思います。当たり前のことを当たり前にやるということと共通しますね。 この本は、6つの章によって構成されています。第1章がダンドリの基本的なことが書かれています。ダンドリを6つのステップに分けて実行して行く手順です。ゴールの確認→タスクの洗い出し→手順の検討→所要時間の見積もり→スケジュール化→タスクの実行の6つのステッ[…]
麦二郎
9ヶ月前

『夜空に浮かぶ欠けた月たち』窪美澄

No.1785 2023年6月28日読了 先日窪美澄さんの『夜に星を放つ』を読んで、非常に良かった印象があるので、この本が出版されていることを知り、さっそく買って読むことにしました。タイトルも「夜」が共通で「月」と「星」が似通っています。短編集なのも共通していますが、こちらの方がもっと繋がって、一つの物語になっていました。 6つの短編と短いエピローグで構成されています。6つの短編の共通点は、喫茶店と「椎木メンタルクリニック」で、内容的には心を病んだ人達が主人公と言うことです。「病んだ」と言う言葉は適切ではないかも知れません。傷付き、心の風邪を引いてしまった人達を癒やし、そして自ら再生して行く物[…]
麦二郎
9ヶ月前

『永遠と横道世之介(下)』吉田修一

No.1784 2023年6月17日読了 吉祥寺のかなり南にある下宿「ドーミー吉祥寺の南」を舞台として、横道世之介の3月から8月にかけてのなんでもない一日が綴られる。『横道世之介』を読んだ時には、続編があるとは思ってもいなかった。思ってもいなかった『続横道世之介』を読んで、まさか次があるとは思ってもいなかった。そんな思ってもいなかった3作目の「横道世之介」は、何と上下巻に分かれる長編小説だった。その『永遠と横道世之介』の下巻は、3日間であっと言う間に読み終えたのでした。 内容 『永遠と横道世之介(上)』は、残暑の9月から秋、冬を迎え冬真っ盛りの2月までの「なんでもない一日」を描いていた。この下[…]
麦二郎
10ヶ月前

『永遠と横道世之介(上)』吉田修一

No.1783 2023年6月14日読了 『横道世之介』は、2009年9月に出版され、2012年1月に読んだ。『続 横道世之介』は、2019年2月に出版されており、この本はそれから4年くらい経っている。『横道世之介』のインパクトが大きかったので、続編が出ると買って読んでしまう。今回は上下巻に分かれている長編だけど、やっぱり買ってしまった。それだけ魅力を感じているのだろうけど、おそらく横道世之介に会えるのはこの本が最後じゃないかと思う。 ある意味、完結編なのだと思っているからだ。 内容 上下巻に分かれていて、上巻を読み終えた。横道世之介のある1年間を描いているようで、上巻は9月から翌年2月の物語[…]
麦二郎
10ヶ月前

『老後資金2000万円の大嘘』髙橋洋一

No.1782 2023年6月13日読了 定年後の暮らしは年金だけでも大丈夫と言ってくれる心強い本。このところ小説ばかり読んでいる気がしますが、たまには経済のことも勉強しなくちゃと思って買った本でした。こういう本を読むのは、僕にとっては珍しいことなんですが。 著者は大蔵省に入省され、小泉内閣や第1次安部内閣のブレーンとしても活躍された方で、「ふるさと納税」や「ねんきん定期便」などの提案・実現をされてこられた方。なるほど、国の政策にも詳しい方だと思った。 内容 5つの章に分かれていて、約50項目のウソに関して本当のところを解説している形式になっている本。5つの章とは、年金問題や老後資金、国債、住[…]
麦二郎
10ヶ月前

『やさしい猫』中島京子

No.1781 2023年6月9日読了 出会ったのは、東京駅構内の本屋さん。ドラマ化されたようで、それを告げる帯が巻かれて平積みされていた。手に取ってみて、よっぽど即買いしようかと、それだけ惹かれるものを感じた。巻末の出版日をチェック。2021年8月。2年近く前だと言うことに気づき、図書館で借りることにした。検索してみたら、すぐに借りられる。借りて来たのは、先週の土曜日でした。 内容 スリランカ人と夫と死に別れた母子の家族3人の物語。と言うことは、本屋さんで手に取ってみた時と、NHKのサイトのドラマの記事で知っていた。母のミユキさんとスリランカ人のクマさんの出会いから、娘のマヤの語りで綴られて[…]
麦二郎
10ヶ月前

『図書室のはこぶね』名取佐和子

No.1780 2023年6月5日読了 読書メーターの「ベスト・オブ・ベストレビュアー受賞者が選ぶ おすすめの本!」という特集記事で、この本を知りました。何が気になったか、良く覚えていないのですが、何となく「読んでみたい」と思ったことだけ覚えていました。2022年3月頃出版された本でしたから、さっそく図書館で借りることにしました。 300ページ弱の本でしたが、実質2日間で一気に読みました。面白かった。 内容について 体育祭間近の高校が舞台。主人公の百瀨花音は部活で怪我をして、体育祭に出られない身。友達に頼まれて、体育祭前の1週間だけ図書委員の仕事を引き受けます。場所も知らなかった図書室を訪ね、[…]
麦二郎
10ヶ月前

『天使も怪物も眠る夜』吉田篤弘

No.1779 2023年6月2日読了 2019年7月に出版された本。螺旋プロジェクトと称された8人の作家の8冊の本で、「海族」と「山族」の対立の絵巻物。時代は原始から未来へ続く物語で、この本は最終章で2085年頃から2095年頃までを舞台とした物語です。他の7冊の本は、2019年の秋には読み終えていたのですが、この本は途中で挫折してしまって、長い間本棚の積読本になっていました。積読本の中でも一番古いものだったのですが、今回「積読本一掃プロジェクト」を始めて、とうとう読み終えることができました。 ちょっと感慨深い心境になり、達成感に浸っています。ちなみに去年の11月に文庫本でも発売されているよ[…]
麦二郎
10ヶ月前

『DRY』原田ひ香

No.1778 2023年5月26日読了 原田ひ香さんの本は、これで15冊目になります。目をつけている文庫本が2冊、図書館で予約している単行本が3冊ありますから、20冊突破は近いかも知れません。最初に読んだのは、2018年2月のことで、『ランチ酒』でした。因みにこれまで沢山読んだ作家ベスト10には、まだ入っていませんが、20冊を超えるとランクインでしょう。 内容について いやいや、酷い話でした。そして、気持ちが悪い。原田ひ香さんの小説でここまで重かったのは、他には無かった気がします。主人公は浮気で離婚されて、子ども達と引き離され、金銭的にも困窮している藍という女性です。祖母と母が暮らす実家に戻[…]
麦二郎
10ヶ月前

『お金の超基本』坂本綾子

No.1777 2023年5月26日読了 時々こういう本、広く浅く大全的な本、を読みたくなる。雑誌のように買って手元に置いておくと、何だか安心して読まないまま放って置いたりする。この本も長い間「積読本」だった。 いざ読んでみようとページを捲ると、関係無いことや関心のないことが結構多いことに気付く。そういうページは思い切って読み飛ばした。無理矢理字面だけ追いかけても、多分時間のムダだろう。 内容について 全部で7章に分かれている。まず1章は、そもそもお金とは何かということが書かれている。お金の機能から価値、生涯のマネープランまで。 2章は「稼ぐ」こと。会社員の保障や給与・賞与の仕組み、退職時の手[…]
麦二郎
11ヶ月前

『飲まない生き方 ソバーキュリアス』ルビー・ウォリントン

No.1776 2023年5月24日読了 「ソバーキュリアス」という言葉は、初めて目にした言葉でした。アルコールを飲まない大人を「ソバキュリアン」と言うそうです。僕の場合は、コロナ禍以降は外で飲む機会はぐんと減りましたが、その分家で飲むことが増えて、意識して休肝日を週に数日作っています。もちろんアルコール依存症と言う認識は無いですが、この本を読んでいると、もしかして依存症か、なんて思うこともありました。 内容 医学的に飲酒が身体に良くないことを説き、飲まない生き方を勧める本なのかなと思っていましたが、そうではありませんでした。著者は医者ではなく、「ソバキュリ」ムーブメントを牽引されている方で、[…]
麦二郎
11ヶ月前

『汝、星のごとく』凪良ゆう

No.1775 2023年5月21日読了 2022年本屋大賞受賞作。2022年8月に出版されている本。発売された時に買って読もうかどうしようか迷って、結局買わなかったので、買いそびれてしまいました。なので、図書館で予約をして順番が回ってきて、読みました。本屋大賞発表以降、本屋さんには沢山平積みされていて、一昨日も本屋さんでその光景を見て、「凄いなあ」と思ったものです。 内容 瀬戸内海の島で暮らす井上暁海とその島に母とともに移住してきた青埜櫂の17歳から32歳くらいまでの物語です。青埜櫂は、母親から離れて暮らすため、東京に出て漫画の原作者になります。井上暁海は、島から出て暮らしたいと考えますが、[…]
麦二郎
11ヶ月前

『時間の超基本』二間瀬敏史/吉武麻子

No.1774 2023年5月19日読了 いつ買ったか忘れたくらい時間が経っています。長い間積読本になっていた本を、やっと読むことができました。長期間積読本になっている本は、残り4冊になりました。 時間は限られているので、特に仕事をして行く中で有効に使いたい気持ちが強いものの一つです。これまで沢山の時間術や仕事術の本を読みました。時間管理と言う意味では、手帳術も同じ部類に入る気がします。実に沢山の本を読み、全く学んでいないわけではないのですが、まだまだ勉強しないといけないと思うレベルです。 そんな意識があって、この本を買ったのでした。ただ、広く浅くみたいな本なので、なかなか読めませんでした。最[…]
麦二郎
11ヶ月前

『優しい死神の飼い方』知念実希人

No.1773 2023年5月14日読了 この本を買ったのは、タイトルに興味を覚えたからと言うことと、知念実希人さんの名前は知っていたけれど、まだ一度も読んだことが無かったから。ネットで調べてみると、この本は「死神シリーズ」の最初の作品で、次が『黒猫の小夜曲』、最新作は『死神と天使の円舞曲』と、3作品があるらしい。他のシリーズは、「天久鷹央の推理カルテシリーズ」や「病棟シリーズ」など。 この本も病院を舞台としている作品だけど、著者はお医者さんなので頷ける。どうやら作家がメインでお医者さんは副業みたいなのだけど。 内容 少々ネタバレなので、予めお断りしておきます。この物語は、犬の姿で降臨した死神[…]
麦二郎
11ヶ月前