『永遠と横道世之介(上)』吉田修一

No.1783 2023年6月14日読了

『横道世之介』は、2009年9月に出版され、2012年1月に読んだ。
『続 横道世之介』は、2019年2月に出版されており、この本はそれから4年くらい経っている。
『横道世之介』のインパクトが大きかったので、続編が出ると買って読んでしまう。
今回は上下巻に分かれている長編だけど、やっぱり買ってしまった。
それだけ魅力を感じているのだろうけど、おそらく横道世之介に会えるのはこの本が最後じゃないかと思う。

ある意味、完結編なのだと思っているからだ。

内容

上下巻に分かれていて、上巻を読み終えた。
横道世之介のある1年間を描いているようで、上巻は9月から翌年2月の物語だ。
年齢にして39歳くらいのことだ。

今で言うシェアハウス的な下宿屋、「ドーミー吉祥寺の南」を舞台にしている。
世之介はあけみちゃんと同棲状態。
「ドーミー吉祥寺の南」のオーナーが、あけみちゃんなのだ。

下宿の住人の面々や出入りする人達、カメラマンとして仕事をしている世之介の先輩や同僚、いろいろな人達と世之介の絡みが淡々と描かれている。
特別なストーリーとしての盛り上がりは無く、淡々と過ぎて行く日常が描かれている感じだ。

世之介の一番大切な人、二千花の回想も時折挟まっていて、上巻を読んだ限りでは本当にこれが完結編的な臭いがする。

ストーリー的な盛り上がりは無い物語なので、ちょっと退屈さを感じたりする。
ぐいぐいと惹き込まれる感じは無くて、本当に淡々と流れて行くのだ。
世之介の人間的な魅力を描いた作品なんだろう。

これから…

もちろん、下巻を読み始めた。
相変わらず淡々と流れて行く物語なんだけど、ラストは楽しみでもある。
ラストに何が来るのか、気になりつつページを捲っているが、まだまだ先だ。
今回は結構な長編。
ラストに近づくと名残惜しい気持ちになりそうな気がする。

次があるとしたら、『さよなら、横道世之介』なんだろうか。
気が早いがこの次をついつい考えてしまう。

麦二郎

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