『自転しながら公転する』山本文緒

麦二郎
麦二郎

No.1771 2023年5月8日読了

山本文緒さん作品は、これで3冊目。
最初に読んだのが『アカペラ』で、2013年のこと。
それから長い時間が経って、亡くなられたことを知り、『無人島のふたり』を読んだのが、今年の1月のことだ。
だから、まだまだ読み込んでいない作家さんなのだけど、この『自転しながら公転する』を読んでみて、もっと読みたくなったのでした。

内容

主人公の都は、牛久大仏に近い茨城県のアウトレットモールの洋服屋さんに勤める30代前半の女性、独身。
この設定からして、その倍くらいの年齢の男性が読む本じゃないかも知れないと、恐る恐る読んだせいか、最初はページが進みませんでした。
ゴールデンウィークは、沢山本を読もうと思っていたのですが、6日頃にやっと100ページ超読んだ程度。それが7日には330ページくらいまで進み、時間があまり無い今日654ページ読了してしまったのです。

どうして惹き込まれてしまったんでしょう。
主人公の都が同じアウトレットモールで働く貫一と知り合う恋愛ものなのですが、それにどうして惹き込まれてしまったのか、不思議な気持ちでした。
あれこれ考えても、いつの間にか主人公に共感してしまったとしか、考えられません。
もちろん、恋する乙女心にストレートに共感したわけじゃないと思います。
主人公の迷いとか、悩みとか、その親の考えとか、良くある話なだけに、そういう部分に共感したのだと思います。
いくつになっても、人間は迷い、悩み続けるものかも知れません。

小説なので、内容と言いつつ、ネタバレは避けます。
それにしても、その分厚さもそうですが、内容的にも読み応えがありました。
後半の一気読みなどは、まさに高速で「自転しながら公転する」みたいな感じでした。

これから…

山本文緒作品の新刊が読めないのは、とても残念なことです。
でも、著作は沢山あるので、いろいろ読んでみたくなりました。
この本の解説でも紹介されている日記、『そして私は一人になった』とか、『再婚生活 私のうつ闘病日記』、『残されたつぶやき』をまず読んでみることにしようかなと思っています。
今のところですが。

麦二郎

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