『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子

麦二郎
麦二郎

No.1712 2022年10月2日読了

芥川賞受賞作品は、あまり読まない方だと思います。
何となく難しいイメージがあって、読まず嫌いかも知れません。受賞作品だから読んでみようという気にならないのです。本屋大賞受賞作は読んでみたいと思うのですが。
でも、この本は読みたくなりました。何となく面白そうな予感がしました。

読んでみて、なるほどこういう小説だったのか、という感じです。
期待どおりと言えば、期待どおりです。
職場の人間関係を描いているところが、何だかどこかにありそうな感じがして、面白いのです。

物語は食べることに無頓着な男性社員二谷と、料理上手だけど仕事はできない女性社員芦川、そして仕事ができてがんばり屋の押尾の3人を中心として進んで行きます。支店長やベテラン社員、アルバイト社員などが回りを固めます。
物語は二谷の視点と押尾の視点で、語られて行きます。
職場小説と言っても、仕事そのものはあまり詳細に描かれていません。昼ご飯とか、帰りに飲みに行く、料理上手の芦川が作る料理やお菓子などを通して、人間関係を描きます。

印象的だったのは、押尾が二谷に語ることです。
大勢で飲みに行って食べる料理はまずく感じるというところです。なるほど、そういうところはあるかも知れません。
大勢で行けるお店というのは、それだけ席が空いているということであり、本当においしいお店ではないかも知れません。でも、そもそもお付き合いで行く場面が多いでしょうから、そういう気持ちで食べる食事は、おいしく感じないのかも知れません。

僕の場合は、最後がどういうことなんだろうかと、ちょっとわからない部分がありました。
でも、やっぱりそういうこともあるのだろうなと思ったりもしました。
良くありそうな職場の人間関係を上手に描いている作品なんだろうと思います。

麦二郎

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