『そのマンション、終の住処でいいですか?』原田ひ香

麦二郎
麦二郎

No.1687 2022年5月1日読了

好きな本を好きな時に、好きなだけ読むことにしょうと考え、読書量だけを目標にしないようにしたら、全然読めなくなってしまいました。
仕事が忙しかったこともありますが、今日は何ページは読んでおこう、みたいな目安も無しにしてしまったので、ほんのちょっとずつしか読めなかったのです。
でも、しばらくは好きな本を好きな時に、好きなだけ読むことにします。

さて、かなり日数がかかった本でしたが、決して面白く無いからではありません。
そのタイトルやこれまで読んだ原田ひ香さんの小説から想像していたのとは、ちょっと違った感じの物語でした。
読み終えてみると、やはりどこかに原田ひ香さんなんだと思えるところがある気はします。

物語は複数の人の目線で描かれています。一人一人の目線の短編が集まって、一つの物語を構成しているような形です。
まずは有名建築家の娘の視点から始まります。父親を嫌っている娘のところに、父親が建てたデザイナーズマンションの建て替えの話が持ち上がります。父親は既に亡くなっています。

続いて有名建築家に憧れて大学に入り、ゼミを受けようとしていた学生だった男性は、ひょんなことからそのデザイナーズマンションの住人になっていて、建て替え話の中心人物として動きます。
学生時代のとある出来事が元で、拘りを持っています。

三番目は有名建築家の弟子のような存在で、今は有名建築家の後を継いで設計事務所の社長をしている人物の妻の視点です。
四番目はデザイナーズマンションの住人の元女優の視点です。

そして最後の話は、そのマンションを建て替えるべきか、保存するべきかを決める住民会議の模様が描かれています。
最後の話は、さすがに一気読みでした。一番面白いクライマックスだったと思います。
ただ、終わり方はちょっともやもやした感じですが。

原田ひ香さんの本は、『ランチ酒』を読んだのが初めてでした。
次は『三人屋』でしたが、この時点では食べ物の小説を書かれている方と思っていました。
三番目が『三千円の使いかた』で、これは印象が少し変わってきました。
そして今回が三番目に読んだ本でした。
もう少し他の作品も読んでみたい作家さんです。

麦二郎

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