『赤と青とエスキース』青山美智子

麦二郎
麦二郎

No.1676 2022年2月18日読了

青山美智子さんの経歴を見ると、ワーキング・ホリデーでオーストラリアに行き、その後ビジネスビザを取得して日系新聞社で2年間の記者をされています。
その経験が活かされた作品かも知れません。この物語がオーストラリアで始まるからという単純な連想なんですが。

このところ青山美智子さんの作品を立て続けに読んでいる気がします。
この本を読み終えたので、あと読んでいないのは、『ただいま神様当番』だけでした。2020年の作品なので、文庫本化されたら読むことにします。

オーストラリアに留学した女性と両親が日本から移住して来てオーストラリアで育った男性の物語です。恋愛小説と言うには長い時間に渡って描かれている作品ですから、二人の人生を描いた物語と言うべきかも知れません。
短編のようで繋がっている、そういう形式の物語と言うのは、珍しくありません。

青山美智子さんの物語の中には、悪人は登場しません。その必要が無いからかも知れません。
純粋な人が多い気がします。そしてどこかに悩みを抱えている人が多い気がします。
そういう人を優しく包んでくれるような小説が多いですし、決して残念な結末にならないことが、安心して読める理由かも知れません。
この作品もそういう期待は裏切らないでしょう。

予想もしていなかった驚きやインパクトは無いですが、こういう優しい物語も人生には必要なんだと思います。
特に今の世の中には。

麦二郎

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