『半分、減らす。』川野泰周

麦二郎
麦二郎

No.1663 2022年1月8日読了

著者は精神科医であり、臨済宗建長寺派林香寺の住職。
今世の中には、物が溢れ、大量に消費されるが故に大量の廃棄物が生じて社会問題化しています。
溢れているのは、形のある物だけでなく、情報も然り。電車の中では8割いや9割の人達がスマホの画面に夢中だったりします。
食も溢れていて、世界では飢えに苦しむ人達が居る一方で、日本では大量の食べ物が廃棄されています。
仕事もそうです。生産性や効率性ばかり追いかけてきた結果として、個々人の手に余るほどの仕事が割り当てられていたり、サービス残業が問題化したりしています。

いろんな「モノ」が溢れている中で、人々はそれに押しつぶされ、精神的に追い詰められている状態にある人も多いと思われます。
そんな中でいろんな「モノ」について、おおよそ半分くらいに減らすというのは、理に適っていると思いました。丁度半分にと言うことではなく、ほどほどのところ、真ん中ぐらいに止めておくのが良いと思います。
何事もいっぱいいっぱいだと余裕はありませんが、ほどほどのところで遊びを持たせておけば、精神的にも余裕を持つことができるのではないでしょうか。

半分に減らすためには、苦しい思いをすると思ってしまうのですが、この本では苦しい思いをして半分に減らそうとはしていません。
食を半分に減らす場合は、早食いやながら食いを止めるだけです。そして、食べ物の味をじっくり味わって、ゆっくり食べるだけです。
食以外の「モノ」についても、同様に考えると苦しくありません。
物や消費は、買ったり消費したりする時に、本当にそれが必要なのか、それが好きなのか、じっくり考えることをすれば良いと思います。
仕事については、ていねいにすることで、効率が上がり半分くらいの労力で片づけることができるかも知れません。
情報も本当に必要な情報を大切にすると、あれもこれもとはなりません。
ていねいな暮らしを目指したら、何となく今の半分くらいでちょうど良くなる気がします。

この本を読んで、何事もていねいにという気持ちになったのでした。
多くの「モノ」を粗雑に扱うのではなく、ていねいに扱うということが、ほどほどに良い状態を作ることができる気がします。

麦二郎

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