『犬がいた季節』伊吹有喜

『犬がいた季節』伊吹有喜

麦二郎
麦二郎
2021年5月2日

No.1594 2021年3月31日読了

3月31日、滑り込みで読み終えた本。
犬と言えば、馳星周さんの『少年と犬』を1月末に読みました。あれは感動的な話であり、ちょっと悲しくなる物語でした。
私も犬を飼っているので、「犬」の物語にはとても興味を持つのですが、反面悲しい物語ではないのかと、身構えてしまうこともあります。結局は読んでしまうのですが。
この本も本屋さんで見かけて読みたいなと思っていたのですが、すぐには買わなかった本です。

物語は第1話から最終話までの6つに分かれています。
最終話を除くと、昭和から平成12年までの物語です。主人公は18歳の高校生たち。いろんな時代の18歳の主人公たちが受験を控えた高校時代の最後の時期を描きます。
コーシローと名付けられた犬が、それぞれの時代を繋ぐ役割を果たしています。
ほとんど主人公が語り手になりますが、時々コーシローも語ります。

自分の高校時代を思い出したり、この物語で描かれている時代を思い出したりしながら読みました。
どの物語が好きかと言えば、やっぱり第5話の「永遠にする方法」でしょうか。

伊吹有喜さんの本は、これまでもいろいろ読みました。
この本で7冊目でした。最初に読んだのは、『風待ちのひと』です。
振り返るとこの本が一番好きな本かも知れません。
人生にちょっとした失敗をして、その悲しみを抱いて生きているのですが、最後は取り戻すみたいな読後感の良い話が好きなのです。
『犬がいた季節』も、そんな大好きな物語でした。

麦二郎

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