短編小説集

『夜空に浮かぶ欠けた月たち』窪美澄

No.1785 2023年6月28日読了 先日窪美澄さんの『夜に星を放つ』を読んで、非常に良かった印象があるので、この本が出版されていることを知り、さっそく買って読むことにしました。タイトルも「夜」が共通で「月」と「星」が似通っています。短編集なのも共通していますが、こちらの方がもっと繋がって、一つの物語になっていました。 6つの短編と短いエピローグで構成されています。6つの短編の共通点は、喫茶店と「椎木メンタルクリニック」で、内容的には心を病んだ人達が主人公と言うことです。「病んだ」と言う言葉は適切ではないかも知れません。傷付き、心の風邪を引いてしまった人達を癒やし、そして自ら再生して行く物[…]
麦二郎
9ヶ月前

『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子

No.1642 2021年10月1日読了 8月に文庫本を読んだ『木曜日にはココアを』の続編にあたる本のようです。確かに前作の登場人物が出てきます。前作同様「マーブル・カフェ」という喫茶店を舞台にした物語ですから、当然と言えば当然かも知れません。「マーブル・カフェ」の定休日に抹茶を出す「抹茶カフェ」なのですから。 前作も同様でしたが、とても短い20ページ弱の短編で構成されています。主人公は短編毎に変わりますが、前の短編に登場した人が次の短編で主人公になる、みたいな緩い繫がり方をしています。12か月それぞれの月という設定で1年間ぐるりと回って、元の話に戻るようなスタイルです。 ついていないと思って[…]
麦二郎
2年前

『水に眠る』北村薫

No.1627 2021年8月11日読了 20ページ程度の短編小説が10編収録されている短編小説集です。書き下ろしが1作、後は「オール讀物」掲載作品です。 「恋愛小説」は、誰からのものともわからない電話がかかってきて、音楽がかかっていて、それに聴き惚れるという不思議な物語です。「水に眠る」は、チリチリとするような切ない味のウィスキーの水割りととあるバーを舞台にした物語です。「植物採集」は、彼女からプレゼントされたと思われるネクタイと全く同じものを見つけ、こっそりそれを取り替える話です。「くらげ」は、個人空調装置の商品名で、その空間に人が閉じ籠もって行く話です。「かとりせんこうはなび」は、奥さん[…]
麦二郎
2年前