ミステリー

『踏切の幽霊』高野和明

No.1838 2024年1月28日読了 読み応えのある作品で、直木賞候補になった作品というのは、頷けました。この作品のことをどこで知ったのか、忘れましたが、気になった頃図書館で予約をして、長い間待って、やっと読めました。こういう読み応えのある本と出会うと、本当に読んで良かったと思います。 ミステリー作品なので、ネタバレは避けたいと思います。なので抽象的な感想になってしまうかも知れませんが、とても哀しい物語でした。感じ方によっては、いろんな面で人間の哀しさを目の当たりにしてしまいます。読後感が悪いかと言うと、やっぱり救われるものはあったのか、そんなに悪くはありません。すっきりしたかと言うとそう[…]
麦二郎
2ヶ月前

『777 トリプルセブン』伊坂幸太郎

No.1816 2023年11月12日読了 読み終えると、次の作品が出ないかなと思ってしまいます。殺し屋シリーズの第4作目です。『グラスホッパー』、『マリアビートル』、『AX アックス』に続く第4作です。最近ビデオで『マリアビートル』を原作とした『ブレットトレイン』という映画を観たのですが、あの舞台は新幹線でしたが、今回はホテルが舞台でした。『マリアビートル』がどんなストーリーだったか覚えていないのですが、映画と比べるとあの映画のホテル版が今回の『777』だと思います。 主役は「天道虫」、最も運の悪い人です。とても楽な仕事だった筈が、いつの間にか他の仕事に巻き込まれて、大変な目に遭うのです。物[…]
麦二郎
4ヶ月前

『クロコダイル・ティアーズ』雫井脩介

No.1799 2023年8月30日読了 クロコダイルティアーズとは、嘘泣きのこと。このタイトルが秀逸なのは、ラストになってわかった気がした。 夫を元彼に殺された妻が主人公かなと思ったら、物語が綴られている視点からすると、息子を嫁の元彼に殺された母親が主人公なんだろう。人は疑いの目で物事を見始めると、全てが疑わしく見えてしまうものかも知れない。 『火の粉』という著者の作品に似ていると思いながら読み進めた。図書館本なので、できたら今日読み終えて、明後日にも返却しに行かなくちゃと思って、毎日100ページ強読む計画を立て、順調に計画通り読むことができた。計画通り読み終えることができたのは、面白くてペ[…]
麦二郎
7ヶ月前

『刑事何森 逃走の行先』丸山正樹

No.1795 2023年8月8日読了 『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』のスピンオフ、刑事何森シリーズの第2弾と言うことだった。この本を先に買って、第2弾ということを知り、第1弾の『刑事何森 孤高の相貌』を図書館で借りて来て読んだのは、先月の下旬のことだった。 そしていよいよ第2弾のこの本を読了した。第1弾と同じで、3つの短編で構成されていて、「逃女」と「永遠」、「小火」の3編で構成される。 「逃女」(とうじょ)は、とある食品包装会社で起こった傷害事件が物語の発端となる。傷害事件を起こして逃亡したのはベトナム人技能実習生で、その行方を追いかける何森と荒井みゆきが行きつくのは、行き場を失った[…]
麦二郎
7ヶ月前

『刑事何森 孤高の相貌』丸山正樹

No.1792 2023年7月21日読了 『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』を読んだのは、2015年11月のことでした。単行本では『デフ・ヴォイス』というタイトルだったのが、2015年8月に文庫本化されて、『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』と改題されています。 その後2018年には、『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』が出版され、2019年に『慟哭は聴こえない デフ・ヴォイス』が出版されています。この二つの作品は、文庫本化されています。そして2021年8月『わたしのいないテーブルで デフ・ヴォイス』が出版されていますので、『デフ・ヴォイス』シリーズは4冊ということになります。第2作以降はま[…]
麦二郎
8ヶ月前

『リバー』奥田英朗

No.1719 2022年11月12日読了 約650ページの大作でしたが、飽きさせないのは、さすが奥田英朗さん。久々長編小説を楽しんで読むことができました。 栃木県と群馬県の県境を流れる渡良瀬川を舞台とした小説です。ある日渡良瀬川の河川敷で若い女性の死体が発見されます。十年前の連続殺人事件と同じ手口の殺人事件でした。栃木と群馬の両県の警察が動き始め、3人の容疑者が浮かび上がります。刑事達と退任した元刑事、十年前の被害者の父親がそれぞれに犯人を追いかけるミステリーです。 ミステリー作品なので、これ以上は語りません。それにしても長い小説でしたが、飽きないで読むことができたのは、奥田英朗さんの上手さ[…]
麦二郎
去年

浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』

No.1677 2022年2月23日読了 この本を読んでみたいと思ったのは、「読書メーター」のランキング上位だったことと、本屋さんで良く見かけていたからです。「本屋大賞」にもノミネート作品として選ばれている本の一つです。 正直なところ、このジャンルの本はそれほど沢山読む方ではありません。特に本格推理小説みたいなジャンルだとそうなんですが、この本は殺人事件などの大それた犯罪の犯人を推理させるものじゃなさそうなのも、読んだ理由かも知れません。 さて、読んでみた感想ですが、非常に面白く、そして楽しく読ませていただきました。これから読もうと思っていらっしゃる方のため、ストーリーについては触れません。個[…]
麦二郎
2年前

『ずっとあなたが好きでした』歌野晶午

No.1665 2022年1月22日読了 この本は、なぜかずっと本棚の端っこに積ん読されていました。660ページくらいある、とても分厚い本だったからかも知れません。歌野晶午さんの本なので、楽しみを取っておきたかったのかも知れません。買ったのは、2018年2月3日頃のことらしいです。今となっては定かではありませんが、当時は買ったらすぐに写真を撮っていましたので、その写真の日付がそうなんです。 50ページ前後の短編が13収録されている本です。タイトルどおり、全ての短編は「恋」がテーマです。青春時代あり、ネットあり、初老時代ありという、ほんとうにいろいろな「恋」の物語です。でも、これ以上は語れません[…]
麦二郎
2年前

『倒産続きの彼女』新川帆立

No.1660 2021年12月30日読了 文庫本化された『元彼の遺言状』を読み、とても面白かったので、新作も買いました。同じ作家さんの本をあまり間を置かず読んだのは、これが初めてかも知れません。最近で言うと青山美智子さんも立て続けに読んでいる作家さんです。僕の場合は、一度読んで良いなと思うと、同じ作家さんの作品を読もうとするところがあります。 さて前作『元彼の遺言状』の主人公は、若手の女性弁護士剣持麗子でしたが、今回の作品では同じ弁護士事務所に勤める美馬玉子が主人公です。上司が顧問弁護士を務めるゴーラム商会が倒産の危機にさらされているのだが、その会社でコンプライアンスに関する内部通報があり、[…]
麦二郎
2年前

『元彼の遺言状』新川帆立

No.1656 2021年12月13日読了 自分を殺した犯人に財産を譲るという、あり得ない遺言状を残して亡くなった元彼。元カノの女性弁護士が、ひょんなことからそのことを知り、元彼の死や遺言状のナゾを追いかけるという物語。2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作のこの本は、著者のデビュー作です。ミステリーなので、ストーリーには直接触れないようにします。 著者の新川帆立さんは、ウィキペディアによれば、この小説の主人公と同じ弁護士をされていた方で、元プロの雀士だった方だとか。びっくりするような経歴の持ち主なのが驚きですが、その小説もなかなかの作品でした。テンポが良く、どんどん[…]
麦二郎
2年前