『ちゅうちゃん』向山義彦

投稿者: | 2018年2月12日

ちゅうちゃん』との出会いは、偶然のことだ。ルミネカード10%オフの日に、ルミネ橫浜店の有隣堂で、たまたま出会った本だった。その装丁に惹かれたのかも知れないし、「ちゅうちゃん」と言う何ら変哲も無いタイトルに、気を取られたのかも知れない。でも、何故だか、この本を読みたいと思った。何の根拠も無いけれど、無性に読みたいと思った。こんなふうな本との出会いが、ごく稀にある。

僕自身、とても恵まれていると思う。高校を卒業して、仕送りを受けながら、2年間も予備校へ通った。1年目は、ほとんど勉強しないで、受験だけして、第一志望の大学に合格できなかった。2年目こそ、複数の大学に合格したし、行きたいと思った大学に入ることができた。

ある時代に、「苦学」と言われるような苦労をして、勉学に励んだ人達が居る。ちゅうちゃんもその一人だ。半端ではない苦学の人だったと思う。アメリカと戦争をしていた時代に、アメリカに行きたいと言う夢を抱いた。その夢を諦めず、ついには留学することになった。誰もが、それは無理なんじゃないかと思うほど困難な博士号を、何年もかかって取得した。それに比べたら、僕はとても恵まれていると思った。

普通のサラリーマンの家に生まれた僕が、好きなように大学に行けたのは、きっと両親が苦労して経済的に支えてくれたお陰だと思う。『ちゅうちゃん』のような苦労は無かったかも知れないけれど、楽々そうできたわけじゃないと思う。でも、苦労を苦労と思って無かったと思う。両親のそんな愛情で、僕は大学を出ることができた。それなのに、アルバイトばかりして、結局何ら勉強と言うものをしなかった。就職して、それなりに自分の好きなように生きられたのも、両親のお陰だと思う。そんな感謝の気持ちを思い出した小説だった。

もっともっと、頑張れた筈だって、分かったような気がする。それほど苦しまずに、苦労もしないで、僕はこれまで生きて来られたと思う。だから、もっともっと頑張れるんだ、そう思った。そして、まだまだこれからだと思う。この先が短い人生だとしても、精一杯生きることができそうな気がした。そうすることが、生きると言うことだと思った。

忘れ得ない小説に出会うことが出来た。

— 「ちゅうちゃん、人生に生きる意味があると思う?」
— 私は彼らのこの先の長い長い人生を思い、空を見上げた。そして、心の中で呼びかけた。
— 康彰。人生は生きるに値するよ。
— ちゅうちゃんは、そう思うよ。
— それに応えるように、桜の花びらが一枚、ひらひらと舞い落ちていった。

(14冊目/2018年)

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