『沈黙の町で』奥田英朗

投稿者: | 2018年1月29日

奥田英朗作品は、僕にとっては外れの無い小説だ。

最近は新刊が出ると、すぐに買って読んでいるのだけど、この『沈黙の町で』は、読みそびれていて文庫本を買っていた。570ページくらいの長編だったため、何となく後回しになっていたら、1年くらい積読本になっていた。

今回やっと読む気になって、約1週間くらいかけて読んだ。読みにくいわけではなく、はまると一気に読める面白さは十分にあるが、最近仕事が忙しいので集中して読めなかったことで、時間がかかった。

物語は、中学二年生の名倉祐一の転落死から始まる。事件か事故かという点が、ミステリー的な要素になっているが、この小説が描いているのは、転落死に関係する人達のいろいろな心情だ。

警察や検察、学校関係者、そして最も濃密に描いているのが転落死した少年の母親やその少年のいじめに関与していた同級生達の母親である。父親の存在は、かなり薄い。このあたりは実際にこういう事件があったら、そうなんじゃないかと思うくらいだ。

学校関係者の思惑は、多分現実もこうなんだろうと言うリアリティを感じてしまう。

そんな中でこの小説の面白さは、転落死に至るまでのいきさつを、フラッシュバックのようにページのところどころで、少しずつ描かれているところだ。真相が徐々に明らかになって行く。いじめた方がただ単に悪かったのかと言うと、そうでも無いことが明らかになって行く。最後は真相がわかる仕掛けになっている。

真相がどうだったと言う点ではなく、やはり関係する人達を描いているところが、この小説の面白さなんだろうと思う。
(9冊目/2018年)


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