『仏果を得ず』三浦しをん

仏果を得ず』を読む前に、心配していたことがあります。何しろ文楽の世界を描いた青春小説なので、文楽とは何かを知らない僕にも読めるだろうかという心配がありました。

高校の修学旅行で強制的に文楽を観劇した主人公の健は、義太夫を語る太夫のエネルギーに圧倒されて、文楽の世界に飛び込むことになります。『仏果を得ず』は、そんな主人公が文楽や恋を通じて成長して行く過程を描いた青春小説です。文楽の世界を知っているわけでもなく、文楽を観劇したこともありません。そういう知らない世界を舞台とした小説を読むのが、苦痛にならないかどうか、それがこの本を開く前の心配事でした。

見事に裏切られました。ほとんど何の抵抗も無く、文楽を語る主人公や他の登場人物達の様子を、何の障害も無く思い浮かべることができました。これはやはり三浦しをんさんの文章力によるものだろうと思います。同じ体験を以前にもしていたことに気付きました。

自転車競技を舞台とした近藤史恵さんの小説『サクリファイス』を読んだ時にも感じた感動です。この場合も、自転車競技のルールすら知らなかったので、果たして面白いのかなという不安がありましたが、この時も見事に裏切られました。面白くて一気読みでした。しかもこの後続編を2冊も読みました。

知らない世界を知ることになる面白さだけでなく、この本に登場するキャラクターの面白さも際立っている小説だと思います。それぞれにどこか変わっているのですが、そこがまた良いキャラクターな登場人物が大勢居ました。キャラクターの際立っているところは、三浦しをんさんの小説の特徴なのかも知れません。

この本を開く前に心配していたことは、単なる取り越し苦労に終わった気がします。無条件に面白い小説でした。
(5冊目/2017年)


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