『とにかくうちに帰ります』津村記久子

たまたま本屋さんで見かけて、滅多に買ったことがない『文學界2016年6月号』を買ったら、津村記久子さんの「浮遊霊ブラジル」という短編が収録されていました。これを読んだ妻が、津村記久子さんにハマってしまい、文庫本の『とにかくうちに帰ります』を買ってみたのです。そこで僕も試しに読んでみようと、この本を読んでみたのですが、やはりハマりそうです。

短編がいくつか収録されていて、「職場の作法」と「バリローチェのファン・カルロス・モリーナ」、「とにかくうちに帰ります」の3つの作品があります。そのうち「職場の作法」は、4つの話に分かれています。

「職場の作法」の中で一番面白かったのは、ペリカーノジュニアという万年筆をいつの間にか持ち去っている人の話で、「ブラックホール」というタイトルです。色んな人が使っている文房具をブラックホールのように吸い寄せて、抽斗に他人の文房具が溜まっている人というのは、会社には良く居る。そんな良くあることで被害を受けた主人公の心理描写がとても面白い。

「バリローチェのファン・カルロス・モリーナ」は、ファン・カルロス・モリーナという濃い顔をしたフィギアスケーターが気になっている主人公の話です。何とも言えないテイストがある短編です。

表題作の「とにかくうちに帰ります」は、洲に勤める会社員が、大雨でバスが満員で乗れなかったり、バスが運休したり、電車が止まったりしている中、歩いて何とか洲を出て運行再開した電車に乗ろうとする話です。そういうことは、たまにはある出来事なんでしょうが、大変な思いをしながら何とかうちに帰ろうとする人達の描写が、素晴らしいのです。

妻と二人、来年は津村記久子さんの作品をいろいろ読むことになりそうな予感がします。
(101冊目/2016年)


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