『だから荒野』桐野夏生

投稿者: | 2016年12月19日

桐野夏生さんの本は、ずいぶん前、調べてみたら6年以上前だったけど、『東京島』という本を読んでいた。面白い小説だったという記憶があるが、それ以来読んで無かった。

この『だから荒野』は、何となくタイトルに惹かれるものを感じ、帯にある「家族という荒野を生きる」というコピーも気になった。

物語は主人公の誕生日から始まる。夫と息子と一緒にレストランで食事をしに出掛けるところからだ。誕生日なのに車の運転をさせられ、おしゃれをして新しい服を着るが、その服が似合っていないと言われる。レストランのチョイスについても、文句を付けられる。家族それぞれの身勝手さと思いやりの無さに、急に嫌気がさして、主人公の朋美はそのまま出て行き、車に乗って家出する。

そこから先を書くことは止めておくが、残された夫の側からの視点と、出て行った妻の側の視点で物語が描かれて行く。朋美の何だか猛々しいところとか、普通なら大変なことだと慌てるのだが、そうでないところが小気味良く伝わってくる。残された夫の方も車を妻に取られてしまったから、中古のベンツをすぐに買ってしまうところなど、何だか羨ましくさえ思ってしまう。

どろどろとした家族の繫がり方を描くのではなく、もっとあっさりとした関係を描いているところが、この小説の良いところかも知れない。どろどろしていたら、読後感もそんなに良くはないのだろう。それでいて、家族の大切な絆みたいなものについても、さりげなく描いているところが良い感じだと思う。

読み終えてみて、桐野夏生さんのどの本を次に読もうかなと、そんなことを考えていた。
(97冊目/2016年)


↑↓この記事良いなと思ってくださったらポチッとお願いします!
ブログランキング・にほんブログ村へ 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


*

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.