『山女日記』湊かなえ

『山女日記』湊かなえ

山女日記』は、女性と山登りをモチーフにした連作短編集。

人は歩いている時に思考能力が高まるんじゃないか、と思ったりすることがある。歩いている時に、良いアイデアが浮かぶことがあったりするように、歩くことと思考は繋がっている気がする。都会の喧噪の中ではなく、それが大自然の中だったら、物思いにふけることができるような気がする。

僕が山登りをしていたのは、2003年頃からの数年だった。本格的な登山をしていたわけではなく、手頃な山に日帰りで登っていただけだった。特に一人で山に登っていると、自分自身の人生のこととか、いろんなことを考えながら登ったりしていたものだった。登っている間ずっと、と言うわけではなく、もっぱら高山植物などの花の写真を撮るのに夢中だったのだけど。

山を登ることは、物思いにふけるにはとても良い条件が得られる。この小説に出て来る主人公の一人のように、友達と一緒に登るよりも一人で登ることを好むのは、そのせいかも知れない。人生と山登りというのは、どこか共通点があるのかも知れない。時には岩だらけの道を登り、急に視界が広がると素晴らしい景色に出会うこともあったり、平坦な道も険しい道もある。

短い物語が山毎にひとつずつある。妙高山や火打山、槍ヶ岳、利尻山、白馬岳、金時山、トンガリロ(ニュージーランド)、北穂高岳の八つの物語が集まって、それぞれにちょっとずつ繋がっている短編集だ。

湊かなえさんと言うと、かなり後味の悪いミステリー作品というイメージだけど、こういう物語を書かれるなんて、やはり抽斗はいろいろあるんだろう。後味の良い、とてもすっきりする短編集だった。NHKでドラマ化されているようだけど、何となく原作とは違っている気もするし、多分観ないだろうなと思っている。
(92冊目/2016年)


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