『神去なあなあ夜話』三浦しをん

『神去なあなあ夜話』三浦しをん

神去なあなあ夜話』の単行本が出版された時、普通だったらすぐにでも買って読んでいたのだろうけど、躊躇って文庫本になるまで読まなかった。しばらく前に読んだ本なので、もうかなり忘れているのだけど、この本の前作に当たる『神去なあなあ日常』はあまり面白くなかった印象があってすぐに買わなかったのだと思う。

とは言え、大好きな三浦しをんさんの作品なので、文庫本になってやっぱり読むことにした。読書のペースを落としてしまっているこの頃なんだけど、久々に一気読みした。とても面白かった。

第一夜から最終夜の7つの短編で構成されている。神去村の起源に始まり、主人公勇気と直紀さんの恋愛事情、プチ遭難事件、過去に起こった悲しい事故の話、無くなったものが出て来るという霊験あらたかな御稲荷さんの話、クリスマスのエピソードなど盛り沢山だ。読みやすくてページを捲るスピードもアップしてしまう。一体どうなるんだろうと期待しつつ、それを裏切らない物語が展開する。

神去村には不思議なことがいっぱいの神去村だけど、都会には無くなった旧き良き日本という感じだ。主人公の勇気が思いを馳せる場面がとても印象的だった。「もし、明日世界が滅亡するとわかっても…たぶん俺たちには、信頼と愛がインプットされてるんだ。明日も明後日も百年後も、きっと人々は幸せに暮らすにちがいないと、楽天的な希望がすりこまれていて、そこに向かって毎日を生きようとする力が備わってる。」という件だ。大袈裟に言うと、失われようとしている良いものが、描かれているような気がする。

後味の良い小説は、安心して読める。そういう物語のひとつだと思う。
(90冊目/2016年)


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