『ツバキ文具店』小川糸

『ツバキ文具店』小川糸

小川糸さんの『ツバキ文具店』が刊行された時から、読んでみたいと思っていた。4月20日頃に書店に並んだと思うが、ベストセラー上位に並んでいたのを記憶している。買ったのは5月中旬で、読むのが楽しみな本だった。

表紙を捲ると目次の裏に、鎌倉のイラスト地図が印刷されている。鎌倉を舞台にした物語で、ツバキ文具店は鎌倉宮の近くにあるという設定だ。「ふくや」という蕎麦屋や行ったことはないけれど、前は良く歩いている「Bergfeld」というカフェ、カレーの「OXYMORON」とか、この前うなぎを食べたくなって入ったけれど、満席で諦めた「つるや」とか、知っているお店が次々と出て来る。それだけでも楽しい。

文具店と言っても、文具に関する記述はあまりない。代書屋というのが本業みたいな物語である。代書と言っても、宛名書きではなく、手紙の中身まで代書する。依頼人とその事情に合わせた字体を書き分けるところが凄い。しかもペンとインクは、その状況によって使い分けられている。特に万年筆とか、ガラスペンとか、いろいろ使い分けているところが、筆記具好きとしては興味深かった。インクもいろいろ使っている。

本の中身にも、主人公のポッポちゃんが代書した手紙がそのまま印刷されている。手紙の内容とか、依頼人によって、字体が違っている。男性による断りの手紙は、太い万年筆で書かれていたりする。絶好状にいたっては、鏡文字で書かれているところなどは、びっくりだった。

主人公のポッポちゃんを取り巻く環境は、至って静かな雰囲気である。代書の依頼内容はいろいろあって、過激なものもあったりするのだけれど、時間はゆっくり進んで行く感じの静かな展開の物語である。そういう部分が『食堂かたつむり』の頃に戻った感じがした。もう一度読み返してみたくなるような、良い本だと思う。
(61冊目/2016年)


↑↓この記事良いなと思ってくださったらポチッとお願いします!
ブログランキング・にほんブログ村へ 

コメントを残す

CAPTCHA


*

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.