『まく子』西加奈子

投稿者: | 2016年5月8日

『まく子』西加奈子

まく子』とは不思議なネーミングだと思った。人の名前ではなくて、「撒く」という意味だということを、この本の前段で知った。主人公の慧は小学6年生の男の子で、実家は旅館をやっている。その旅館に住み込みで働くことになった母親と娘が現れるのだけど、その娘コズエが、撒き散らすことが好きな「まく子」なのである。城跡の石垣から小石を取って、辺りに撒き散らす。小石だけではなく、いろんなものを撒き散らすのだけど、いろんな粒と言った方が良いかも知れない。

小学6年生くらいから中学生になろうとしている頃が、ちょうど子供から大人へと変わって行く時期かも知れない。そういう時期の少年少女を描いた物語だと言える。主人公の慧は、体の変化に驚き、怖れる。心も子供から大人へと変わって行くことに気づいている。大人になることを拒もうとするが、やがてそれを受け入れるようになる、そんな物語だ。コズエとの関係も、そういう時期にはありがちな関係として描かれているが、ちょっとしたサプライズはある。そういう表現が、ちょっとついていけないかなと思える部分だったが、何となく納得感はあるような気がしてくるから不思議だ。

現実を描いている物語であるのに、ファンタジーっぽい物語として書かれているのが、違和感を感じてしまう部分でもある。こういうのが、西加奈子ワールドなんだと言えば、そうかも知れない。
(53冊目/2016年)


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