『ホテルローヤル』桜木紫乃

『ホテルローヤル』桜木紫乃

ホテルローヤル』は、2013年上半期の直木賞受賞作。2年後には文庫本になるということかなと思ったら、過去の受賞作の文庫本化された時期を調べたくなった。この本とは無関係だけど、2013年下半期の直木賞受賞作の朝井まかて『恋歌』は10月に文庫本が出ているし、姫野カオルコ『昭和の犬』については、来月文庫本が出る予定だということがわかった。受賞作に限らず、単行本の文庫本化は2年後あたりなのかも知れない。

ホテルローヤル』は、北海道の阿寒岳が見える湿原の傍らに建てられたラブホテルを舞台とした連作短編集である。読み始めてすぐに、このホテルは景観を損なうから、そんなところには建ててはダメなんじゃないか、と強く思ってしまった。しかも物語のスタートの「シャッターチャンス」では既に廃墟になってしまっているではないか。

物語はどういうふうに綴られるのだろうかと思っていたら、時間を遡る形になっていた。廃墟となった後の物語から、ホテルローヤルが建てられることになったあたりの短編「ギフト」までの7つの短編によって構成されている。いずれの物語も、日向を颯爽と歩いているような人物でなく、ちょっとじめっとした日陰を歩いているような人物の物語である。どこかに陰をしょっている感じの登場人物たちの物語であり、ホテルローヤル自体も6室あるうちの1室で心中事件があり、経営は悪化して、最後に廃墟になってしまうのであるから、明るい物語のわけがない。

ホテルを舞台とした物語はあるだろうけど、ラブホテルを舞台とした連作短編集なんて、他にはないだろう。そういうところが斬新だったのだろうか。この本だけでは判断できないけれど、あまり僕好みの小説ではないかなというのが、正直な感想である。でも、また気が向いたら、桜木紫乃さんの本をもう少し読んでみようと思う。
(96冊目/2015年)


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