『私のなかの彼女』角田光代

投稿者: | 2015年11月11日

『私のなかの彼女』角田光代

角田光代さんの小説を読む前に、僕は妙に身構えてしまいます。だからこの本を読み始めるのには、相当な時間が必要でした。身構えなくて済む本を、優先して読んでしまうからです。身構えるという意味は、読むのにある程度の覚悟が必要で、そのために読み始めるタイミングを図ってしまうということです。それだけ読み応えのある本だと予感していたということなのです。

私のなかの彼女』は、2013年11月に出版された本です。この本を買ったのは、出版された日からは割と時間が経っていたと思いますが、もうかれこれ1年以上は積読本だったという気はします。

主人公は本田和歌という女性です。彼女は大学を卒業し、大学院に残るか社会に出るか悩みますが、結局社会に出ることを優先して何となく小さな出版社に就職します。そしてしばらく勤めてから、小説を書き、やがてそれを生業にします。何だか角田光代さん自身のことを書かれているのではないか、そんなふうに思いながら読みました。

主人公の祖母も作家を目指したようですが、その思いを成し遂げずに結婚して、書くのを止めてしまった女性でした。怪しい作家に師事した祖母の過去を辿りながら、主人公は物語を綴ります。学生時代から付き合っていた仙太郎との恋愛も並行して描かれています。

角田光代さんの小説ですごいと思うのは、心理描写です。いつの間にか、主人公の心の中に入り込んだような錯覚を覚えるほど、引き込まれてしまいます。それにエネルギーが必要とされてしまうので、読む前に身構えてしまうのかも知れません。書くことに苦しむ主人公の側に立って、同じように苦しんでいるかのような気になったくらいです。

読み終えて爽快感を感じるような小説ではなかったですが、ちょっとほっとした感じだったでしょうか。そんな安堵感を覚えて、この本を閉じました。
(95冊目/2015年)


↑↓この記事良いなと思ってくださったらポチッとお願いします!
ブログランキング・にほんブログ村へ 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


*

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.