『いちばん長い夜に』乃南アサ

『いちばん長い夜に』乃南アサ

前科持ちの刑務所仲間、芭子と綾香のシリーズ完結編。1作目の『いつか陽のあたる場所で』と2作目の『すれ違う背中を』、そしてこの『いちばん長い夜に』で完結する連作短編集です。

この本に収録されている短編は、全部で6作品です。「犬も歩けば」と「銀杏日和」の2作目までは、これまでと同じなのかなと思っていました。「その日にかぎって」からが何だか雰囲気が違っていました。そしてタイトル作の「いちばん長い夜に」がこれまでの短編の雰囲気をがらりと変えてしまいました。あとの「その扉を開けて」と最後の「こころの振り子」は完結に向かって行く感じでした。

著者があとがきで書いているのですが、この連作短編集は「取り立てて大きなことの起こらない日常」を描いています。ミステリーであっても、大したことは起こらない話だったのですが、完結編では大したことが起こってしまいます。その点でこれまでとは違ったものを感じたのだと思います。

淡々とした生き方、ささやかな夢のための大きく変化のない日々が続いていたのですが、この完結編では様相が変わっていきます。でも、それはそれで完結編に相応しいのだろうと思います。刑務所仲間のふたりの関係も少し変わって行きます。特に芭子の生き方が変わります。でも、変わるべくして変わるという感じがします。淡々と過ぎて行く日々でも、いつかターニングポイントはやって来るのです。そんな変化がとても新鮮でした。このシリーズがもっと続くなら、きっと飽きてしまっていたかも知れないと思うのです。
(89冊目/2015年)


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