『ポケットに物語を入れて』角田光代

投稿者: | 2014年10月31日

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僕の読書は、そのほとんどが通勤の往復の電車の中である。実はかれこれ8年前くらいまでは、僕はほとんど本を読まない人だった。ある年何故か年間100冊の本を読んでみようと思い付き、2008年の途中からの記録であるが、150冊の本を読んだ。それ以降ずっと年間に読む本の数を気にしてきたのだけど、そういう読み方では良くないだろうということで、今年は数は気にしないようにしている。それでも習性というのは恐ろしいもので、電車の中で本を読みながら、今日はここまで読んで、明後日には読み終えようなどと計算していることがある。

ポケットに物語を入れて』の冒頭に、「あなたのポケットの、あなただけの物語」という文章がある。文庫本の終わりにある解説は、その本の答えのように思っていたけれど、そうではないという話だ。小説にしてもエッセイにしても、正解があるわけではなくて、人それぞれの読み方によって変わるものだろう。正解なんてどこにもなくて、もっとはるかに大きなものが本にはあるのだと言う。そうだそうだと思いつつ、この本にある沢山の解説を読み、本との新しい出会いに胸を膨らませて読んだ。

これまでこの本のような書評集を読んでも、良いなと思う本はあっても、なかなか実際には買って読むということがなかった。僕の読書は、だいたいは著者を決めて、その著者の本を読み続けるというスタイルなのである。だから新しい本と出会うということは、その本の著者と出会うということであり、それだけでその著者が書いた本全てを読みたいと思ってしまう。その著者が角田光代さんのような多作な著者だと、大変なことになる。

最近は読むのが義務みたいな読み方や、著者から追いかける読み方から脱却しようとしている。そういうタイミングに読んだこの本は、読みたいと思う本がいくつか見つかった。これまでとはちょっと違うぞという感じだ。

開高健『最後の晩餐』や川上弘美『天頂より少し下って』、湯本香樹実『春のオルガン』、佐藤多佳子『黄色い目の魚』、伊集院静『ぼくのボールが君に届けば』、沢木耕太郎『あなたがいる場所』などである。

新しい著者と出会えば、その著者の本を読みたくなるだろうけど、機械的に網羅して読みあさることはしないだろう。本との出会いは、人との出会いと似ているところがある。もっと大切に、もっと丁寧に本と付き合うことにしたいと思う。
(90冊目/2014年)


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