川上弘美さんの本を読むのは、この『古道具 中野商店』で多分9冊目になる。結構好きな作家さんである。そして振り返ると、結構同じテイストの小説を追いかけている気がする。
この小説に登場する人物は、タイトルの古道具屋さんを経営する中野さんであったり、その妹のマサヨさん、語り手になっているヒトミさん、ヒトミさんが惚れているタケオ、中野さんの愛人サキ子さん、どの人物も浮き世離れしていて、暢気で、ちょっと変わったところがある人物なのである。
登場人物達によって作られている世界は、とても温くて、緩くて、ほっこりする世界なのである。その世界が、とても魅力的で、読んでいてそこに入り込んでしまいたいと思うくらいだ。その緊迫とはかけ離れた世界観が、僕のお気に入りなのである。
川上弘美さんは、とても抽斗の多い作家さんだと思うけれど、そんな中から同じような世界観で書かれた小説ばかりを選んで読んでいる気がする。この本もそうに違いないと思って読んでみたが、期待は外れなかった。
さて、次はどの小説を読もうかな。
(82冊目/2014年)