朱川湊人さんの本は、『花まんま』が2冊目。初めて読んだのは『かたみ歌
』だけど、不思議な物語でちょっと切なくなるような話が多いという印象だった。今回も同じ印象だった。短編が基本というのも、どちらにも共通したところで、そういう意味ではこれが朱川湊人さんの小説のテイストなんだろう。不思議な話なのだけど、怖い話ではない。
短編の中で最も印象に残ったのは、「トカピの夜」かタイトルになっている「花まんま」だった。「妖精生物」もとても面白かった印象が残る。読んだ後で振り返ると、それぞれの短編がそれぞれに良かったと思う。そんな中でも、やっぱり「トカピの夜」については、印象深い。ネタバレになるので、ストーリーには触れないけれど、子供だから故に犯してしまう罪悪感みたいな痛みがあり、後味はまずまずだったと思う。
(14冊目/2012年)